「業績予想の修正」開示されたら要注意! 最も株価への影響が出る適時開示
株価が下がったケース
業績予想に関する情報の影響により株価が上がったケースとして小野薬品工業を取り上げましたが、次に株価が下がったケースとしてファーストリテイリングを取り上げたいと思います。 おそらく誰もが知っているユニクロを運営する同社が4月7日に「平成28年8月期第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」を開示したところ、同日の同社株式の終値が3万490円だったのに対し、翌8日は一時2万6395円まで値を下げました(高値も2万7785円)。前年同期と比べて利益が減少しているのですが、株価下落の原因はそれではなく、この四半期決算短信の中に記載された業績予想の下方修正だと思われます。平成28年8月期の業績予想のうち利益の予想を大幅に下方修正しているのです。 なお、業績予想の修正は、通常、「業績予想の修正に関するお知らせ」といったタイトルの独立した資料により開示されるのですが、同社は四半期決算短信の中でそれを記載しています。開示資料のタイトルだけを見ていると、業績予想の修正を行っているのかが分からず、四半期決算短信を読み込んで初めて分かります。もしかすると、業績予想の修正が目立たないように、そうした記載方法をとっているのかもしれませんが、株価の動きを見ると、その効果はないようです。 ファーストリテイリングの株価
株価が上がるかと思ったら下がった! 奇妙なケース
業績予想に関する情報の株価への影響の仕方については、これまでの説明でご理解頂けたでしょう。読者の方を混乱させないように、ここで説明をやめた方がいいのかもしれないのですが、最後に、株価が下がるかと思ったら、上がったというケースを取り上げたいと思います。例外的なケースなので、あくまで参考としてお読み下さい。 丸紅は4月18日、「通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」を開示しました。業績予想のうち利益の予想を大幅に下方修正するという内容であり、これにより同社の株価は下がるかと思われました。しかし、同日の同社株式の終値が565円80銭だったのに対し、翌19日は一時585円30銭まで値を上げました(安値も569円30銭)。通常ならば、株価が下がるはずなのに、上がったのです。 丸紅の株価