春香クリスティーン「子育ては自分の力だけではどうにもならない」1児の母になって見えた社会とのつながり
2018年に芸能活動を休業後、結婚・出産を経て昨年2022年に芸能界に復帰したタレントの春香クリスティーンさん。休業中は一般企業で派遣社員として働き、子育てをしながら働く大変さを実感したという。少子化対策や待機児童問題などの社会課題に対して、当事者の目線でどう捉えているのか聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
産後2カ月で職場復帰することを宣言。しかし、出産直後は心身ボロボロで孤立
――2021年に娘さんを出産され、現在育児中とのことですが、親になったことで自分自身に何か変化を感じたことはありますか。 春香クリスティーン: 親になったことで、世界が180度変わりました。それまでは、夫と2人の生活だったので、遅く帰ってもいいし、自分の好きなタイミングで食事や睡眠をとっていましたが、子どもがいるとやはりそうはいきません。自分だけなら食事を抜いてしまうことも多かったんですけど、やっぱり子どもには栄養があるものをしっかり食べさせたいな、と。子どもも好き嫌いや気分が乗らないこともあるから、そのペースに合わせてあげないといけないですし。 生活の中に、自分の時間軸とは別に、子どもの時間軸もできたような感覚です。「子どもを持つとこんなに生活が変わるんだな」というのは、やはり当事者になってはじめて実感できました。 ――出産前は一般企業で派遣社員として働いていたそうですね。産後どのくらいで職場に復帰されたんですか? 春香クリスティーン: 産後2カ月で復帰しました。すごくいい職場で、子どもが生まれたあとも同じ会社で働きたいと思っていたので、産休に入る時に「2カ月後にすぐ復帰します」と言っていたんです。 でも、いざ子どもを産んでみたら、体がまったく動かなくて、起き上がることすら辛くて…。産後は女性ホルモンの関係でメンタルも不安定になるので、知らない間に涙が出ていることもありました。 産後1カ月間は、体力回復のためになるべく外出を控えたほうがいいと病院から言われたので、ずっと家に引きこもっていました。夫はもともと育児休暇を取る予定だったんですが、仕事が忙しい時期が重なってしまって、頼るのが難しかったんですよね。私の実家はスイスなので両親に来てもらうわけにもいかないし、孤立している感覚はありましたね。 出産がこんなに心身ともにボロボロになるものだとは知りませんでした。「こんな状態で2カ月後に復帰できるんだろうか」と不安でしたが、自分で言ってしまった手前「なんとしてでも復帰しないといけない」とプレッシャーを感じてもいました。今となっては、もう少し余裕を持ってもよかったのかなと思いますね。 当事者になってみてはじめて「妊娠中の大変さとは全然違うんだな」とわかりました。
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