《薄井シンシアさん&木下紫乃さん対談》女性活躍への疑問「子育てと仕事を両立できないのに、建前しか言わない企業は淘汰される」
シンシアさん「金の鳥かごか、竹の鳥かごか」
シンシアさん:お金の使い方の問題もあると思います。娘は外資系金融会社にいた3年間で2000万円ほど貯めて退職しました。でも、いまだにそこで働いている彼女の同僚は、ひいひい言いながらマセラティに乗って、タワーマンションに住んでいます。タワマンに住んで自分の鳥かごを作ってしまうけど、金の鳥かごを作るか、竹の鳥かごを作るかが重要。高級なかごを作ったら、ずっとそこで生きなくちゃいけないから、身軽に生きたい人は作りません。 紫乃ママ:付き合う人も変わるしね。 シンシアさん:リスクの問題なのに、みんな「終身雇用だ」「安定だ」とまったく計算しない。「自分はここにたどりついたから、この階段を上がって、ずっとここにいるんだ」と人生を甘く見ている。 ◆薄井シンシアさん 1959年、フィリピンの華僑の家に生まれる。結婚後、30歳で出産し、専業主婦に。47歳で再就職。娘が通う高校のカフェテリアで仕事を始め、日本に帰国後は、時給1300円の電話受付の仕事を経てANAインターコンチネンタルホテル東京に入社。3年で営業開発担当副支配人になり、シャングリ・ラ 東京に転職。2018年、日本コカ・コーラに入社し、オリンピックホスピタリティー担当に就任するも五輪延期により失職。2021年5月から2022年7月までLOF Hotel Management 日本法人社長を務める。2022年11月、外資系IT企業に入社。65歳からはGIVEのフェーズに。近著に『人生は、もっと、自分で決めていい』(日経BP)。 ◆木下紫乃さん 和歌山県出身。慶應義塾大学卒業後、リクルート入社。数社の転職を経て、45歳で大学院に入学。2016年に中高年のキャリアデザイン支援の人材育成会社「ヒキダシ」を設立。2017年、東京・麻布十番に週1回営業する「スナックひきだし」を開店し、2020年に赤坂へ移転。スナックのママとして、のべ3000人以上の人生相談を聞く傍ら、55歳で社会福祉士の資格を取得。現在は毎週木曜日14時~18時に在店。離婚2回、家出2回、再婚3回。キャッチフレーズは「どこに出しても恥ずかしい人生」。近著に『昼スナックママが教える 45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(日経BP)。 撮影/小山志麻 構成/藤森かもめ