《薄井シンシアさん&木下紫乃さん対談》女性活躍への疑問「子育てと仕事を両立できないのに、建前しか言わない企業は淘汰される」
シンシアさん「なぜ企業は『うちはグリーデイー・ジョブ』と言わないの?」
シンシアさん:今度、営業マンの奥さん2人が相談に来ます。男性2人から「妻がワンオペで家庭が成り立たないから退職しました。うちの奥さんと話してもらえませんか?」と連絡があったのです。若い人は両立できないと気付いている。 紫乃ママ:うん、気づいてる。だから若い子が大企業から離れる。それを「今の若いやつは働かない。すぐ辞める」って言うけれど、「あなたたちのやり方がおかしいからでしょう?」と思います。 シンシアさん:2023年にノーベル賞を取ったハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授が「グリーディー・ジョブ(強欲な仕事)」と言いましたが、なぜ企業は「グリーディー・ジョブだから子育てに向きません」と言えないんですか? すべての職種が両立できるわけがないんだから、そう言えばいい。 紫乃ママ:本当にそう思う。 シンシアさん:企業が「この職種は両立できないから、子育て後の方がいいです」「どうしてもやりたい人は、両親と同居してください」とはっきり言えば、入社してからギャップに驚かないと思わない? 紫乃ママ:外資系企業は「うちの会社は、こうです」とリアルなことを言うんですか? シンシアさん:いろんな外資で働いてきましたが、外資も言いません。誰も言わないから、ゴールディンさんがノーベル賞を取ったのだと思います。 弁護士にもグリーディー・ジョブと、そうでない仕事があります。弁護士をしている娘は若い頃、「訴訟担当ができないなら、弁護士の意味が無い」と若さゆえの生意気な考えを持っていました。でも訴訟担当をするうちにワークライフバランスが無いと気付きました。だから最近は、給料や面白みが減っても企業弁護士になることを考え始めました。旦那さんについては、最初から「家庭に入ってもいい人がいい」と考えていました。 紫乃ママ:やりたいことがある人には、パートナー選びも大事ですよね。 シンシアさん:企業が「この仕事は子育てと両立できません」と言わなければ女性たちが苦しむだけなんですよ。でも、そこまで言えば、男性もその企業を選ばないかもしれません。