森永卓郎氏は「全株を処分した」 株価大暴落で何をすべきなのか「老後資金をすべての投資先から引き揚げるべき」
9月がポイント
元大和総研主任研究員で「インフィニティ」チーフエコノミストの田代秀敏氏にも聞いてみた。 「これまで、外国の金融機関は超低利で日本円を大量に調達し、ドルや人民元に替えて資産運用してきました。これをキャリートレードと言います。しかし、7月の利上げによって、資金を日本円に戻す動きが起きている。これは円高に振れることを意味しており、株価にマイナスです。注目すべきは次のFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれる9月17、18日。ここで利下げが決まった場合、また株価が大きく動いてきます」 冒頭で登場した夕凪氏はどう動くのか。 「4年前のコロナショックの時はコロナ禍が終われば株価が戻ることが分かっていました。しかし、今回の暴落で株価がどっちに動くのか分かりにくい。下げ止まるポイントも読めません。だから私は急がずに、下落がしっかり収まるのを確認してから買い出そうと思っています」 目安にしているのはVIX(ボラティリティ指数。恐怖指数とも呼ぶ)という指標だ。 「最近、(投資家の間では)これを目安にするのが主流なんです。VIXが安定して40を下回っていると、株価が落ち着いている。そうなったら、電気やガスなどのインフラ企業、JTや携帯電話のソフトバンクといった配当の高い銘柄を買うのがいいかもしれません」(同) プロでさえ二の足を踏むのが大暴落の後。相変わらず「貯蓄から投資へ」と喧伝を続ける政府だが、鉄火場の恐怖までは教えてはくれない。 2024年8月8日号 掲載
新潮社