森永卓郎氏は「全株を処分した」 株価大暴落で何をすべきなのか「老後資金をすべての投資先から引き揚げるべき」
生活が苦しくなるレベルでNISAにつっ込んだ人も
気になるのは、少額投資非課税制度(NISA)を利用している投資家の動向だ。利用数は約2323万口座。流入金額は40兆円を超える。 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が言う。 「今年1月から、運用益に対する非課税期間が無期限になる新NISAが始まりましたが、1月から3月にかけて“バスに乗り遅れるな”とばかりに多くの人がNISA口座で株を買い始めた。その資金流入によって、今年初めに3万3000円台だった日経平均株価はたった2カ月で4万円台に達しました。中には“NISA貧乏”と呼ばれるように、生活が苦しくなるレベルでNISAにつっ込んだ人も少なくありません」 この暴落の最大の敗者は、NISAを信用し脇目もふらずに金を投じてしまった個人投資家だと深野氏は指摘する。 株の世界には「デッド・キャット・バウンス」ということわざがある。死んだ猫(駄目な株のこと)でも高いところから落とせば、少しは跳ね返るという意味だ。本稿執筆の時点で日経平均株価はやや盛り返し、3万4000円台。問題はここからである。
「最善の手は老後資金をすべての投資先から引き揚げること」
経済アナリストの森永卓郎氏によると、 「私は2~3年前から株が下がると主張してきました。世界的に見て、景気はとっくに低迷が始まっている。例えば、イギリスは(景気を刺激するために)利下げを決めているし、アメリカでも秋に大幅な利下げがあるとみられている。日本も株価を維持するためにゼロ金利に戻さなくてはいけなかった。ところが、やったことは、なんと逆の利上げ。それが高すぎた株価の急落を招いてしまい、バブル崩壊につながったということです」 ゆえに、 「いまは逃げの一手です。株価はこれからどんどん下がっていく。最善の手は老後資金をすべての投資先から引き揚げること。NISAのような制度には指一本触れてはいけません」 ちなみに、目下、がんで闘病中の森永氏は7月中に手持ちの株をすべて手放している。 「がん宣告をされて以降、自由診療のため毎月100万円以上のお金がかかることになった。それに背中を押される格好で7月12日に全株を処分しました。タイミングよく売れたのは偶然だったのです」