反抗期の子ども、「うざっ!」と言われたら…人気スタイリストが語る、大学受験サポート
日々の服選びが決断力を育む
――大草さんの家族のようなフラットな親子関係なら、そんな提案もできそうですね。ところで大草さんはファッションのプロですが、お子さんの服装にはアドバイスするのですか。専門家なので、口出しをしたくなりませんか。 聞かれればもちろん、アドバイスはしますよ。でも、ファッションって個人のカルチャーであると同時に、決断でもあるんです。ファッションは決断の連続です。何を着るか、どう組み合わせるかを親が決めてしまうと、子どもは大きな決断ができなくなると思うので、私は子どもたちが小さい頃から着るものは子ども自身に選ばせてきました。 ――子どもに任せてきたのですか。 たとえ冬にサンダルを履きたがっても「寒いからダメ」とは言わず、好きなようにさせてみる。そうすると子どもは自分自身で下した決断から、「冬のサンダル履きは寒いから、やめておいたほうがいい」ということを学びます。上から下まで着るものを全部親に決めてもらっている子が、大学受験になっていきなり「志望校を決めなさい」と言われても、決断はできないんじゃないでしょうか。 ――ファッションも大学受験も人生も、好きなこと、やりたいことを自分で選び、そこからいろいろなことを学んでいく。それが大草さんのスタンスなんですね。 そうですね。自分でやってみないとわからないですから。子どもから「決断する」という行為を取り上げないことは、大事だと思います。 ――来年は下の娘さんの高校受験ですね。 下の娘も上の2人とは違う個性がありますし、お姉ちゃん、お兄ちゃんが受験でいい結果を出したことがプレッシャーにもなっているでしょうから、そのあたりをどうしようかな、と考えているところです。高校受験は精神面でも体力面でも大学受験とは違うので、また情報を集めながら、少し手助けができればいいなと思っています。
プロフィール
大草直子(おおくさ・なおこ)/ファッションエディター。東京生まれ。立教大学卒業後、出版社でファッション誌の編集に携わる。独立後は編集者、スタイリストとして活動し、洗練されたスタイリングと飾らない人柄が、多くの女性から支持を集める。現在は2019年に立ち上げたウェブメディア「AMARC(アマーク)」で編集長を務め、ファッション、美容などの情報を発信するほか、さまざまなイベント出演や有名ブランドとのコラボ商品を手がけるなど幅広く活躍中。ベネズエラ人の夫と長女、長男、次女の5人家族。
朝日新聞Thinkキャンパス