13代続く湘南の地主・石井さん、地域の生態系や風景まもる賃貸住宅で”100年後の辻堂の風景”を住まい手とつくる 「ちっちゃい辻堂」神奈川県藤沢市
「まずは、土間があって創作活動の作業がしやすい、水が使いやすい。そして外も緑が多くて気持ちがいい。軒先にドライフラワーを飾ってもいいし、使いきれなかったお花は、まわりのお宅に渡すと喜ばれます。周囲に大工さん、デザイナー、エンジニアがいるので相談できるし、さらに道具まであって。自分が表現したい世界や幅が広がるので、アーティストとしてはプラスしかないです。
アーティスト2人で暮らしていると、それはぶつかることもありますから。でも縁側にいて、誰かくるとおしゃべりして、すっと気が晴れることもあります」
「あと、人同士の距離がね、ほんとうに心地よいんです。光さんの考えや価値観を理解したうえで暮らしているので、違和感がないというか。濃密過ぎず、薄いわけでもない。これがあたらしい暮らしというものなのかな、と思います」
縁側のドライフラワー。さり気なく吊るしてあるのがかわいい。
定例の食事会。顔の見える距離感ってこんなに心地よいんですね。
最後に、2週間に1回、開催されている食事会に少しだけお邪魔しました。訪れてみると、住民のみなさんはそれぞれのおうちでつくったご飯とアルコールを持ち寄り、すでに盛り上がっていました。出会って数カ月とは思えないほどですが、とにかくムリなく、自然に、ゆるりと背伸びしない関係ができているようです。石井光さんと仲間たちが耕しはじめた、未来の暮らしはまだまだはじまったばかり。時間がたつほどに味わいを増して、「みんなの居場所」として心地よくなっていく気がします。 ●取材協力 ちっちゃい辻堂 大家の学校 ※第11期の締切は5月31日(金)まで
嘉屋 恭子
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