無印良品「地域土着化」で変容した売れ筋の中身 2021年に第2創業、客層が広がり最高益を更新
近年は小売りや外食でもEC会員の取り込みに積極的だ。会員には一部の品で大幅な割引クーポンを提供する店もあれば、毎週のように5%オフのクーポンを発行して来店を促す店もある。消費者の購買行動を考えると、育てたい販売チャネルだろう。 まもなく2024年が終わるが、年末年始の風物詩の1つといえば福袋。無印良品も「2025福缶」として提供している。その横顔も紹介したい。 「福缶は2012年から販売をスタートさせました。日本各地で昔から親しまれている縁起物(郷土玩具)1点と、インターネットでもお店でも使えるギフトカード1枚が入ったセットという形式は変わりません」(生活雑貨部)
■「福缶」の中には38種類の縁起物 無印の福缶は年号に合わせて価格も1円ずつ増え、「2025福缶」の販売価格は2025円(ギフトカードも同額分)。すでにネットでの応募期間は終了しており、当選者は指定した希望店舗で1月1日や1月2日以降(入店する施設の営業日による)に購入する。 「今回、中に入る縁起物は38種類。大きさはさまざまですが、日本各地の作家さんや工房が一つひとつ手づくりした品です。干支にちなんだ品もあれば、郷土玩具のように地域で昔から親しまれてきた品もご用意しています」(生活雑貨部)
他社の多くは福袋だが、なぜ「福缶」なのか。 ■「地域に密着」の象徴に 「お正月ならではの開封する楽しみもあり、中身の縁起物がデリケートな品のため、缶は商品の保護としてもふさわしいのです」(生活雑貨部) 開発のスタートは2010年にまでさかのぼる。 「もともと2010年冬に『缶を使用した商品をつくれないか』という話が社内で持ち上がりました。それが縁起物を入れた福缶になったのは、翌年に起きた東日本大震災がきっかけです。震災復興の東北を応援したいという想いから、青森県・岩手県・宮城県・福島県の縁起物14種類を缶に詰めて2012年のお正月に販売したのがスタートです」(同)