「1・6」アメリカ議事堂襲撃事件 「白人の暴動」が意味するものとは?
加速度的格差転換
トランプを大統領に押し上げた原動力は、いわゆるラストベルトにおける、貧しく教育水準がそれほど高くない白人たちの不満だとされている。そしてその就任期間に、アメリカはアメリカ第一主義に、世界は自国第一主義に、国家政策の振り子が大きく振れた。4年経った昨年の大統領選挙では、ジョー・バイデンという、能力よりは人柄が優れているように見える候補者が選ばれ、新しいキャビネットでは、女性や人種的マイノリティが多数登用されている。新しい大統領は「America is back(アメリカは戻ってきた)」と叫んだ。振り子はもう一度振れ返したのだ。 そういった中で1・6暴動が起きる。 アメリカ民主主義のシンボルであり、言論による国家運営のシンボルである議事堂に、星条旗を掲げた白人の暴徒が突入したのだ。暴動の主役の交代は、逆に、その社会における知と法の主役の交代を意味してもいる。第1時代の、人種による奴隷と主人の格差から、第2時代の、階級による格差と思想による分断を経て、第3時代の、デジタル・デバイドと教育による分断へ。アメリカという実験的な国家におけるこの加速度的な転換は、世界の人類にとっても大きな意味をもつように思える。 日本では、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の辞任が伝えられた。