【行正り香さんにきく〝50代。これからの住まい〟に思うこと〟②】手軽で効果的なリノベーション(リフォーム)成功の秘策、それは…あのアイテムを替えること
とはいえ行正さんの自宅ダイニングの場合、食卓の上に下げている照明は大きめなので、少し上に設置しているそう。 「ダイニングチェアに座ったときにお月さまが浮いているような感じにしたかったのと、目立つけれど生活のじゃまにならない位置を考えたらこの高さになりました。 私はインテリアの仕事でいろいろなお宅に照明を設置しに行きますが、とりわけ垂らすタイプの照明のときは、そのお宅に実際に行って部屋を見てみないと高さが決まりません。なぜならまったく同じ照明を使う場合でも、ベストな高さがお宅ごとに違うからです。ぐっと下ろしたほうがいい家もあるし、逆に低いと雰囲気になじまない家もあります。 照明は奥が深く試行錯誤の連続ですが、私が空間をコーディネートするうえでいちばん好きなジャンルでもあります。 私は東京国立博物館のレストラン・カフェ『ゆりの木』の照明ディレクションもしていますが、そのカフェではルイスポールセンのラジオハウス ペンダントという照明を使っています。訪れる人にとってカフェが美術館に行く楽しみのひとつになったらいいなと思っています。 部屋を心地よくしたいけれど、どこから始めたらいいのかわからない…という人は、手始めに照明を替えることを検討してみてください。 想像した以上に、雰囲気が変わってくるかもしれませんよ」
【話してくれたのは】 行正り香さん 料理家、インテリアデザイナー。福岡県生まれ。高校3年生からカリフォルニアに留学。大学卒業後は広告代理店でCMプロデューサーとして活躍後、料理研究家となる。またデンマーク親善大使に選ばれるなど北欧インテリアに造詣が深く、インテリアコーディネーターやリフォームプランナーとして、多数の家づくりに携わる。料理レシピ本のほか、インテリア本、英語スピーキング教材など著書は50冊以上。2023年、東京国立博物館のアンバサダーに就任。館内のレストラン・カフェ「ゆりの木」の照明ディレクションのサポートを務める。最新刊は「人生を変えるリノベーション」(講談社)。 取材・原文/倉澤真由美 撮影/本多佳子