【行正り香さんにきく〝50代。これからの住まい〟に思うこと〟②】手軽で効果的なリノベーション(リフォーム)成功の秘策、それは…あのアイテムを替えること
◆ライトを使いこなすことで生まれる光と影を楽しむ
「また、一室多灯にする際にポイントとなるのが光と陰。 一般的なお宅では影をなくす照明の使い方をしていることが多いのですが、あえて影を意識してみることでいつもの空間がまた違ったものになります。
例えば我が家では、天井に埋め込むタイプのダウンライトは、壁から50~60㎝のところに、ユニバーサルタイプという光の角度が変えられるタイプのライトを設置しています。 ユニバーサルタイプは狭角、中角、広角と光を当てる幅を変えられますが、私は必ず幅が狭いものを使います」 そうすることで、光が縦に流れて影が生まれるのだそう。
「絵もあちこちに飾っていますが、そこにも照明の工夫をしています。 絵全体や絵が飾ってある壁全体にまんべんなく均一の光を当てるのではなく、スポットライトのように当てているのです。そうすることで、光と影が生まれてさらに雰囲気のある印象になります。 また、人は光があるところを空間として認識し、影があるところは空間として認識しません。その性質を利用して、部屋の奥にスタンドライトを置くことで、部屋に広がりを生む効果をねらっています。 このように、空間に陰影をつけることで心地よい雰囲気と広がりが生まれるのです」
◆照明器具は空間に浮かぶ彫刻。部屋に立体感を生み出すものを
「ですから、部屋の雰囲気を大きく変えたいのなら、思い切って部屋全体を照らしているシーリングライトを替えてみましょう。 照明というと、なんとなく『明るければいい』くらいであまり意識していない方もいるかもしれません。でも、天井につけているシーリングライトを外してランプを垂らしてみるだけでも、部屋に立体感が生まれ、まるでリフォームしたくらいの劇的な変化をもたらしますよ」
照明は、大きさや使われている材質により重さはまちまちだ。 「重量がある照明をつける場合は天井を補強する必要が出てきますが、そうでない場合は一般的なシーリングライトをつけられるところであれば、ペンダントライトなどの〝垂らすタイプの照明〟をつけることができます。 こうした垂らすタイプの照明器具を、私は空間に浮かぶ彫刻ととらえています。照明を垂らすことで、空間に動きやリズムが出るのです。 垂らして使う照明には、ランプ型やちょうちんのような形などさまざまなタイプがあります。意外にも裸電球をそのまま垂らすだけでもかっこいい雰囲気になるんですよ。 このように照明を垂らしてみるのは、インテリア初心者も取り入れやすい方法だと思います。そして垂らすタイプの照明をつける場合、迷いがちなのがどれくらいの高さに垂らすのかということ。 照明の高さを決めるコツは難しいのですが、基本的にはテーブルの上に垂らす場合、サイズが小さい照明であれば、照明の下部がテーブルから70㎝くらいのところにくるようにします」