「北陸観光フリーきっぷ」で海沿いの景色を楽しみ、北陸の幸を味わう
名古屋発2泊3日、富山県・石川県・福井県の旅
1月に発生した地震で大きな被害を受けた能登半島。まだまだ復興は道半ばだが、観光目的で行ける所も増えてきている。3月に延伸開業した北陸新幹線も、終点の敦賀まで乗ってみたい。鉄道ファンの間で「新幹線や特急にも乗れて、かなりお得!」と人気の「北陸観光フリーきっぷ」で、初夏の北陸を訪れることにした。 今回の旅の玄関口となる富山駅で駅弁を買い、あいの風とやま鉄道に乗り込む。高岡駅で下車して氷見線のホームに行くと、懐かしい感じのする朱色の車両が待っていた。 高岡駅から15分、越中国分駅を出た列車は、海岸線に沿うようにカーブを描く。右の車窓いっぱいに富山湾が広がり、車内では、「わぁ」「きれいねえ」と歓声が上がった。
雨晴駅で降り、雨晴海岸を散策。富山湾越しに望む立山連峰の3000メートル級の山々は、海の上に浮かんでいるかのよう。越中国の国守として赴任していた大伴家持も、雨晴の素晴らしい眺めを歌に詠んでいる。古の偉大な歌人が見た景色を自分も見て同じように感動していると思うと、なんだか感慨深い。道の駅雨晴のカフェで一服しながら、この絶景を楽しむのもおすすめ。 雨晴駅から再び氷見線で、終点の氷見駅へ向かう。寒ブリで有名な氷見は、1年を通して魚介類が豊富に水揚げされる。とれたての地魚の刺し身はもちろん、魚がたっぷり入った郷土料理のかぶす汁など、氷見ならではの料理を味わいたい。
全線復旧したのと鉄道で能登へ
2日目の午前中は、金沢から特急能登かがり火に乗り、和倉温泉へ行ってみることにした。七尾湾に面した「海の温泉」は、地震によって護岸や建物に大きな被害が出た。一般客の宿泊受け入れを再開したのはまだ1軒だが、共同浴場の和倉温泉総湯は、男湯の露天風呂と足湯を除いて通常営業に戻っている。朝風呂に入りながら、和倉温泉の早い復興を願った。 和倉温泉からはきっぷの範囲外だが、のと鉄道の終点、穴水を目指す。4月6日にのと鉄道が全線復旧したと聞き、ぜひ乗りたいと思っていた。現在は、通常より3本少ない臨時ダイヤで、能登中島―穴水駅間は少し減速しながら運行しているそうだ。 能登には黒瓦の家が多く、のと鉄道に乗るたびに、伝統的で統一感ある家並みを眺めるのが楽しみだった。まだブルーシートで部分的に覆われている屋根もあるが、静かな七尾湾の佇まいは以前と変わらない。つや光りする黒瓦、きらめく海、目に爽やかな青々とした稲穂。初夏の能登の美しい風景が続く。