京阪バス・休廃止のはずの路線で「ダイヤ改正」ってどういう意味? 掲示物から伝わる乗務員不足の切迫感
掲示物から伝わる乗務員不足の切迫感
ここまで、筆者は「廃止」という言葉を使ってきましたが、近運局が公示した同社の届出書の内容を確認すると、同年12月16日に廃止予定とされていた寝屋川営業所管内の4路線、門真営業所管内の3路線、ダイレクトエクスプレス直Q京都号のうち、一部を除いていずれも24年4月1日から25年3月31日まで1年間の「休止」の届け出となっていました。 「廃止」ではなく「休止」とした理由について、同社の担当者は「休止路線の全区間で運行を復活するかどうかという話とは別に、例えば一部区間を別の路線バスが運行経路を変更して再び通るようになる、といった可能性がゼロではないため」としています。 「廃止」と言っていたのになぜダイヤ改正なのか、という素朴な疑問から始まった今回の取材を通じて、痛感させられたのはバス業界の乗務員不足の深刻さです。 営業所のある寝屋川・門真両市は大阪市の衛星都市であり、休廃止の対象となった路線は過疎地域にあったわけではありません。それでも、同社は路線の維持を断念しました。筆者が撮影したダイヤ改正関連の掲示物の写真を改めて見ると、乗務員不足の切迫感がひしひしと伝わってきます。 乗務員が足りないのは同社だけでなく、全国のバス業界全体の問題です。人口減少と高齢化がますます進む中、地域の足をどう維持・確保するのか。これは、バス業界だけでなく国や自治体、産業、私たち住民を含む社会全体が抱える大きな課題です。 (取材・文:具志堅浩二)