デイトレードはリスクが高い?債券を持つメリットは?「投資のリターンを最大化する一番の方法」を金融ジャーナリストが伝授
金融庁が公表した「NISA口座の利用状況調査」によると、2024年6月末時点のNISA口座数は2427万6789口座で、2024年3月末から約105万口座増加しました。そのようななか、記者や金融ジャーナリストとして活動する、カナダ出身のニコラ・ベルベさんは「投資にリスクはつきもの。だが、投資しないのはもっとリスクだ」と語っています。そこで今回は、ニコラさんのベストセラー『年1時間で億になる投資の正解』から、一部を抜粋してご紹介します。 【書影】各賞受賞の実力派経済記者が“ほったらかし投資”の極意を示す。ニコラ・ベルベ、翻訳:土方奈美『年1時間で億になる投資の正解』 * * * * * * * ◆ポートフォリオにおける株式の役割 バランスの良いポートフォリオ(資産の構成)には少なくとも2つの構成要素がある。株式と債券である。 株式はある会社の持ち分を表す。つまり、ある会社の株式を買った投資家は、その会社の一部を所有することになる。会社の利益の一部はその投資家のものだ。 株価は会社の財政状況を反映するものであり、投資家は未来に関心があるので、株式の価格(株価)には会社が将来にわたって生み出す利益が織り込まれている。 株はその日に買ってその日のうちに売ることも可能だ。こうした行為をデイトレードという。デイトレードで金儲けする方法を説く書籍、講座、セミナーはたくさんある。インターネット上にはデイトレードに特化したエコシステムが存在するほどだ。あなたの近所や親戚にも、デイトレでひと財産つくるんだと息巻いている人がいるのではないか。 残念ながらデイトレードに関する研究では、カジノでルーレットに賭けるよりリスクが高いという結論が出ている(1)。僕としては、投資家は何があってもデイトレードにだけは近づいてはいけないと思っている。 デイトレードほど短期間ではなくても、株を買ってほんの数カ月後に売却する人は多い。
◆リターンを最大化するには 頻繁に取引をすればリターンは高まるのだろうか。 むしろその逆で、リターンは低下する。複数の研究で、取引の頻度とリターンには負の相関があることが示されている。アメリカで6万5000人以上の投資家を分析した研究では、市場で特に活発に活動した投資家のリターンは、特に何もしなかった投資家の半分だった(2)。 運用資産というのは石鹸のようなものだ、という格言もある。触る回数が増えるほど、どんどん小さくなる。 株式投資のリターンを最大化する一番良い方法は、長期間(理想的には数十年)にわたって株に勝手に働いてもらうことだ。 過去を振り返ると、北米とヨーロッパの株式市場は10年のうちほぼ7年は上昇している。投資家の資産が減るのは、10年中3年だけなのだ。長い目で見れば、オッズは投資家にかなり有利だ。 だが翌週、翌月、あるいは翌年の株式相場がどちらに動くか、予測するのは不可能だ。ニューヨーク証券取引所はある年に22%株価が上がったのに、翌年は9%下落し、さらに翌年には14%上昇するといったことも珍しくない。
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