デイトレードはリスクが高い?債券を持つメリットは?「投資のリターンを最大化する一番の方法」を金融ジャーナリストが伝授
◆経済と株式市場の関係 投資家のラルフ・ワンガーは犬と飼い主の関係をたとえに使って、経済と株式市場の関係を説明する。こんな具合に。 株式市場を散歩に連れ出されて超ご機嫌な犬と考えてみよう。長いヒモの端っこを飼い主に握られてはいるが、好き勝手にあちらこちらを嗅ぎまわっている。 ここでいう飼い主、つまり経済はニューヨークシティのコロンバスサークルからセントラルパークを抜けてメトロポリタン美術館まで散歩している。 道すがら犬は右に行ったと思えば左に行くなど、その動きを正確に予測するのは不可能だ。だが長い目で見れば、どこへ向かっているかははっきりわかる。飼い主と一緒におよそ時速4キロで北東へ向かっているのだ。 ワンガーはこの小話をこう結んでいる。 「株式市場の動向をフォローしている人の大半が、飼い主ではなく犬ばかり見ているのには驚くばかりだ」(3)
◆債券の役割 株式市場のボラティリティ(変動性)を許容するのにも限度があるので、バランス型ポートフォリオには通常少なくとももう一つ、債券という資産クラスが含まれている。 債券を買うのは、政府や企業などの借り手にお金を貸すという行為にほかならない。借り手は将来、利子をつけてお金を返すことを約束する。 債券において重要なのは、借り手の質だ。一番安全とされるのはアメリカやその他の先進国の政府が発行する債券だ。なぜなら企業と違って政府には徴税権があるため、運営に必要な資金を集めることができるからだ。 債券は定額の収入を生み出し、保有者に現金払い利息のかたちで支払われる。債券の価格は金利変動に左右されるため、一番価格が安定しているのは残存期間が短いもの、たとえば満期が1~5年のものだ。 国債は政府が返済を保証しているためリスクが低く、このため株式より一般的にリターンは低い。こうした理由から債券は使えない、金持ちになるのに役に立たないと考える投資家も多い。 だが債券を保有することで、株式を落ち着いて運用できるようになる。それが債券の最大のメリットだ。 株式市場が急落したときも、“退屈な”債券の価格は株式ほど変動しにくい。 それが船を安定させる錨(いかり)のような役割を果たし、投資家が冷静さを保つのに役立つ。さらに債券はデフレ期(モノの価格が下落する時期。20世紀には二~三度発生した)でも価値が保たれるので、運用資産を守るのに有用だ。 古いことわざにこんなものがある。 「株式を買うのはうまいものを食べるため、債券を買うのはぐっすり眠るため」 ・参考文献 (1)Charles V. Harlow and Michael D. Kinsman, “The Electric Day Trader and Ruin,” Pepperdine Graziadio Business Review, 1999. (2)Brad M. Barber et al, “Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors,” The Journal of Finance, April 2000. (3)William Bernstein, The Four Pillars of Investing: Lessons for Building a Winning Portfolio, McGraw-Hill, Kindle version, 2010, p. 216.(『投資「4つの黄金則」』ウィリアム・バーンスタイン著、渡会圭子訳、ソフトバンクパブリッシング、2003年) ※本稿は、『年1時間で億になる投資の正解』(新潮社)の一部を再編集したものです。
ニコラ・ベルベ,土方奈美
【関連記事】
- 科学者・ニュートンが財産の大半を損失…世界に衝撃を与えた投機バブル「南海泡沫事件」「チューリップ危機」はなぜ起きたのか
- 「有望だと思う会社を選んで投資」することの難しさを金融ジャーナリストが解説。コロナ禍での投資、ワクチンを開発したファイザーよりも、リターンの大きかった会社は…
- 50代から始めても遅くない!注目すべきiDeCoの<3つの手厚い節税効果>とは?NISAとの違いを分かりやすく解説
- 投資は<増やした後>まで意識を。30代資産1億達成ママ「やめ時を間違えると運用の成果が大きく低下。なのでオススメは圧倒的に…」
- お金が貯まる人に共通しているキーワードは「強制」!?30代純資産億超ママが教える<自然にお金が貯まる仕組みの作り方>