天然のアルコールで日常的に酔っぱらっている野生動物たち、「コカイン・シャーク」で注目
発酵した果実や幻覚作用を持つキノコをむしゃむしゃ食べている
ブラジルのリオデジャネイロの海に暮らすブラジルヒラガシラの体内から、水路にしばしば投棄される違法薬物が検出されたという研究結果が発表され、「コカイン・シャーク」が話題になった。 ギャラリー:思わず笑ってしまう野生動物の写真17点 この現象は「多くのジョークを生んでいますが、事態はかなり深刻です」と、米テキサス州公園野生生物局の野生動物医であるサラ・ワイコフ氏は述べる。 「動物たちは、麻薬鎮痛剤のオピオイドや違法薬物だけでなく、避妊薬から抗生物質まで私たちが使用するあらゆるもので汚染されています」 もちろん、アヘンの原料となるケシからマジックマッシュルーム、発酵させるとアルコールになるブドウなど、違法かどうかにかかわらず、人は多くの薬物を自然から直接得ている。 そして、快楽を求めているかはさておき、鳥からゾウまで、野生動物も自然から薬物を摂取している。ここでは、興味深い例をいくつか紹介しよう。
ベリーを頬張るヒメレンジャク
大きな冠羽や黒いアイマスクのような模様など、印象的な羽毛で知られる北米の鳥であるヒメレンジャクは、数カ月にわたって果実だけを食べるという珍しい特徴を持つ。果実はエネルギー源として優れているが、熟しすぎた果物やベリーは目に見えない脅威となる。 天然の酵母が熟した果実を発酵させ、糖の分子をエタノールと二酸化炭素に変える。果実が腐り始めていなければ、食べても安全だが、ヒメレンジャクを酔わせているかもしれない。 人と同じように、酔っぱらったヒメレンジャクは反射神経が鈍く、判断力が低下している。そのため、補食されたり、車や窓ガラスにぶつかったりする可能性が高くなる。 「アルコールには神経抑制作用があり、神経系と反射神経を低下させます。人が酔っているときに起きると想像されることは、すべて動物にも当てはまります」とワイコフ氏は説明する。 ポーランドにあるポズナン生命科学大学の動物学者であるピョートル・トリジャノウスキー氏が主導した2020年の研究では、科学論文やYouTube動画を分析した結果、半野生動物やペットを含む55種の鳥がアルコールを飲んでいることがわかった。動画の多くは、オウムやカラスなどのいわゆる「賢い」鳥が人の飲み物を口にするというものだった。 「なぜ彼らはそうするのか? おそらく私たちがバーに行くのと同じ理由でしょう」と、トリジャノウスキー氏は話す。