日本の紙の歴史 “軟水” によって独自の文化を育んできた 「日本の紙」
「軟水」 に支えられてきた 「日本人の生活」
このように、日本の紙はいかに 「日本の軟水」 に支えられ、独自の歩みを進めてきたのかが分かります。私も初めは 「紙」 を見る時に 「軟水」 に着目することはありませんでしたが、私にきっかけを下さった方がいらっしゃいました。その方は、京都の伏見で350年間、「月の桂」 というお酒を造り続けられている株式会社増田德兵衞商店の14代目・増田德兵衞社長です。私が初めて増田社長 (現在は会長) にお会いさせて頂いたのは25歳の時。共通の知り合いの方を通じてお会いさせて頂いたのですが、初めてご挨拶をさせて頂いた時に言われた最初の一言が 「君も水を扱う仕事やな。仲良くしよう!」 でした。 その時は 「なんとなく」 しか意味が分からなかった私ですが、後々になり、紙のことを知れば知るほど、この言葉が金言のような言葉だったことに気付かされました。きっと、「日本酒」 や 「和食」 という日本の文化を支えるお仕事を通じて、「紙」 だけでなく、「日本人の生活」 自体が、「軟水」 に支えられていることに気付くようにと、私にアドバイスだったのかな?と思うと同時に、私たちにとって当たり前すぎる 「水」 にもう一度、私も含めて目を向ける必要を感じます。 今もご家族の皆様も含めて仲良くして頂いていることに、この場をお借りして感謝を申し上げると共に、さらなる躍進を担っている15代目の増田醇一社長の活躍を1ファンとして楽しみにしたいと思います。 長くなりましたが、今回はこれにて終わり。長い文章にお付き合い頂き、ありがとうございました。 次回は近現代の明治時代から平成時代までの紙の移り変わりを描かせて頂きたく思います。 吉川紙商事株式会社 https://www.yoshikawa.co.jp/ 吉川 聡一 (よしかわ そういち) 吉川紙商事株式会社 常務取締役執行役員 1987年東京生まれ。学習院大学卒業後、飛び込み営業を含む営業職の期間を2年半経て、現在の吉川紙商事に入社。現社長・吉川正悟が掲げる「人と紙が出合い、人と人が出会う」を実現するため、同社にて平成25年より取締役を務める。2017年にはオリジナルブランドの「NEUE GRAY」を、2020年には和紙のオリジナルブランド「#wakami」をプロデュースし、紙、ステーショナリーの双方を発売。現在はそれらを国内外にて販売するという形で活躍を続ける。