神戸を天皇杯決勝へ導いたイニエスタと”引退”ビジャの友情物語「1月1日も勝って幸せをおすそ分けしたい」
約束の日を圧巻のプレーの数々で手繰り寄せた。勝利をはなむけに盟友を第2の人生へ送り出す。サッカー人生で2つ目の所属クラブとなるヴィッセル神戸へ、悲願の初タイトルをもたらす。スペイン代表とFCバルセロナで一時代を築きあげた、生きるレジェンドがひときわ眩い輝きを放った。 21日に行われた第99回天皇杯全日本サッカー選手権大会の準決勝。ホームのノエビアスタジアム神戸で清水エスパルスと対峙したヴィッセルを、新国立競技場のこけら落としとなる来年元日の決勝戦へ導いたのは、左腕にキャプテンマークを巻いたMFアンドレス・イニエスタだった。 エスパルスの鋭く、気迫のこもったチェックに手を焼いていた前半13分。利き足とは逆の左足を迷うことなく振り抜いた、狙いすました一撃で両チームともに無得点の均衡を破った。ペナルティーエリアの右角付近で、右ウイングバックの西大伍から短い横パスを受けた直後だった。 「パスを受けた瞬間にコースがあると感じたので、ディフェンスに来た相手選手の下を通るような、低い弾道のシュートを狙った。ちょうどいい感じで低く、力強いシュートを打つことができた。試合を優位に進めるうえで大事なゴールだったし、チームの貢献できたという意味でもよかったと思っている」 左足でボールをもったこともあり、エスパルスの選手だけでなく、味方の選手もパスを予測した。角度のないニアポスト付近を狙った意外性に富んだ一撃は、ブロックしたMF竹内涼の両足の間を低空で通過したことで、エスパルスのキーパー西部洋平にとってもブラインドになったのか。 反応が遅れながらも懸命にダイブした、西部が伸ばした左腕をかすめてゴールネットを揺らした一撃を見届けた背番号8は雄叫びをあげ、疾走しながらジャンプ。空中で力強いガッツポーズを作って喜びを表現したが、イニエスタの独壇場は2-1でリードした後半24分にも訪れた。