神戸を天皇杯決勝へ導いたイニエスタと”引退”ビジャの友情物語「1月1日も勝って幸せをおすそ分けしたい」
日本人選手でタイトル獲得経験のあるFW田中順也(前柏レイソル)、西(前鹿島アントラーズ)、そしてビジャと同じく今シーズン限りで引退するDF那須大亮(前浦和レッズ)らも食事の席などで経験を伝授する。日々の積み重ねがもたらした変化に、生え抜きの小川は感謝の思いを寄せる。 「自然と若い選手たちは、どのようにしたらタイトルを取れるか、を考えるようになるし、それが練習で新たなモチベーションになる。日本人を含めて、数多くのタイトルを取ってきた選手たちがすごく刺激を与えてくれていると思う」 2時間遅れでキックオフされたもうひとつの準決勝は、鹿島アントラーズが3-2でJ2のV・ファーレン長崎を下した。歴代最多の20個のタイトルを誇る常勝軍団へ、イニエスタの加入とともに生まれ変わり、新たな歴史を紡ぎ始めたヴィッセルがクラブ創設以来の初タイトルをかけて挑む。 「このクラブにとって歴史的なタイトルを取るための一歩を今日踏めたということを、クラブ全体としても、そして個人としても喜んでいる。決勝戦なので難しい試合になることはわかっているが、タイトルを勝ち取れるように全力を尽くしたいし、実際に獲得すれば素晴らしい体験になる」 新国立競技場のこけら落としにふさわしい顔合わせに、胸の鼓動の高鳴りを抑えきれないのか。ビジャとともに天皇杯を掲げる光景を思い浮かべながら、熱い応援で後押ししてくれたファンやサポーターへ、イニエスタは「1月1日も勝って、みなさんへ幸せをおすそ分けしたい」と勝利を予告していた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)