売上UPの秘訣は商品の魅力を伝える「コンテンツ力」。ヒットを飛ばし続ける集英社のECサイト「ハッピープラスストア」の戦略とは
ファッション誌編集部の経験を生かしたECマーケターに成長
■ 成果がすぐにデータで可視化される点に醍醐味 湯田氏はこれまで、集英社が発刊する女性誌の「マキア」「バイラ」「ノンノ」などの編集長を歴任してきた。現在はEC事業を担当するブランドビジネス部の部長と第10編集部の部長を兼務している。編集部での経歴がEC事業にも生かされているかについて聞いたところ、「共通する部分とそうでない部分があります」(湯田氏)と説明する。 女性誌の編集部では「読者の心理を読む」ことを常に追求してきた。読者が何を考えているのかを常に観察して想像するという工程は、EC事業と共通しているという。雑誌とECの大きな違いは、雑誌は徐々に部数が増えたり、ファンをつかんでいったりといった地道な手応えの積み重ねだが、ECはすぐに結果が数字で表れること。「日次・週次で結果がわかるのは刺激的で、それがECの仕事の醍醐味だと感じます」(湯田氏) ┌────────── 自分たちが投じた施策の結果が「サイトPV」「購買率」「売り上げ」といった数字に直結して見えるECはまさに、マーケティングの腕の見せ所。商品Aを買った人が、次にどの商品のページを閲覧したのか、類似商品Bはなぜ買ってくれなかったのか.....といったお客さまの動きがオンライン上ですべて見て取れるというのは、紙媒体のファッション誌の仕事が長かった自分にとって新鮮でした。(湯田氏) └──────────
雑誌の編集部を経験した強みも生かせている。商品を市場に売り出した後、いかにその商品を伝えていくかという点だ。これは、出版社が得意とするコンテンツ力。市場で商品の販売をスタートした後、「いかにその商品の魅力を伝えるか」という段階で出版社ならではの力を発揮できる。このコンテンツ力の高さが、上位2%の商品が売上高の半数を占める「ハッピープラスストア」の売り上げ構造につながっている。
■ カタログ通販ならでの難しさを実感 集英社はECの運営だけでなく、雑誌の誌面を活用した通販事業や通販カタログの発行もしている。