売上UPの秘訣は商品の魅力を伝える「コンテンツ力」。ヒットを飛ばし続ける集英社のECサイト「ハッピープラスストア」の戦略とは
なかでも、突出した人気となっているのは「イーバイエクラ」だ。「顧客のボリューム層となる50代女性は可処分所得が比較的高い上に、おしゃれを気にかける人も多い」と話す湯田氏。しかし、手ごろな価格で自分に合った服を見つけるのは難しい。こだわったデザインで値ごろ感があり、体形をカバーしながら、おしゃれ感があるアパレル商品を紹介していることが、ヒット商品につながっているようだ。
■ 厳しい審査基準で商品開発 「ハッピープラスストア」でのヒット商品の開発秘話を聞いてみた。 たとえば「イーバイエクラ」。「エクラプレミアム編集室」というチームがあり、それぞれの商品開発を手がける編集者がディスカッションを行う。編集者の目線で捉え「50代だったら何を着たいのか」「どのようなおしゃれをしたいのか」といった厳しい基準を設定。「独自の基準をクリアした、こだわりや納得感がある商品を世に送り出していることがヒット商品につながっています」(湯田氏)
ヒット商品の一例であげたのが、「イーバイエクラ」で販売している「大人チュールスカート」(税込2万900円)。ふくらはぎまでの長さのスカートの上に、チュール生地を2枚重ねであしらった商品で、ウエストは総ゴム。淡いトーンのカラー展開、着やすさ、おしゃれ感があり華やかに着られるシルエットが反響を呼び、発売直後から人気に火がついた。引き合いの多さから、現在も再入荷と在庫切れを繰り返している。色違いで買いそろえる顧客も多いという。
「大人チュールスカート」は、スカート単体だけではなく、ほかのファッションアイテムとの相性の良さも特徴だ。トップスはニットでもTシャツでも合わせやすい。靴はスニーカー、ブーツ、パンプスまで、どれを選んでも相性良く履ける。 ┌────────── 「普段の服装に取り入れてコーディネートしやすい」「体形をカバーできる」「暑すぎず寒すぎない着心地」「華やかさがある」といった、50代の気持ちに寄り添う商品開発に力を入れた点が、ヒット商品につながった。(湯田氏) └────────── 狙った通りに「売れる」商品開発とはどのようなものか。湯田氏は「商品開発の時点で『どの商品をヒット品番にするか』を計画するのは難しい」としつつ、たとえば10用意した商品のうち、「これはあまり買ってもらえないかもしれない」という結論に行き着く商品は検討をつけやすいと指摘している。 ┌────────── 一番売れる商品を当てるのは難しいけれども、10ある商品のなかから3つ「これは売れそう」というものを見いだすことならできます。そして鏡を見ながら試着をし、ディスカッションを重ねながら「自分たちも欲しい」「ファンにこれを着てもらいたい」という商品に磨いていきます。(湯田氏) └──────────