極端な思考、ミスへの恐怖...若者が抱える“職場の困難”のリアル
人手不足と言われる現代日本だが、新入社員の離職率はなかなか下がらない。「若者のコミュニケーション能力不足」などと言われて久しいが、「突然、出社しなくなる」「退職代行サービスを使う」など、その問題の中身は変化しているようだ。 【図】上司からの「有害なフィードバック」の特徴 本記事では、若者の就労支援を行う「地域若者サポートステーション」の取材から、ノンフィクション作家の石井光太氏が、「現代の若者の国語力」に迫る。
なぜ最近の新入社員は「いきなり出社しなくなる」?
職場における中高年と若者層のコミュニケーションの分断が叫ばれて久しい。ベテラン社員の国語力の欠如の問題について叫ばれる場合もあるが、逆に「若者の国語力のなさ」がすれ違いを生んでいることもある。 「若い人たちとの会話が成り立たない」 「どれだけ丁寧に言っても信頼関係が構築できない」 「うまく話し合えていると思っていたら理解してもらえていなかった」......。 ベテラン社員がどれだけ手を差し伸べても、こうした若者は適切なコミュニケーションを取ることなく会社を去っていく。 働き手不足の中、多くの企業が若者の離職を食い止めようと様々な対策を打っているが、なかなか成果は見えない。2020年の厚生労働省の調べでは、入社3年目までに3人に1人が離職しており、大学卒の離職率が32.3%、短大卒が42.6%、高卒が37%、中卒が52.9%となっている。 国語力だけが原因ではないにせよ、退職の要因の一部に世代間の意思疎通のすれ違いがあるのは事実だろう。それは次のようなベテラン社員の声が表している。 「若い子は何を考えているかわからない。仕事について聞いても、『普通に大丈夫です』とか言うんだけど、気が付いたら全然違うことしていて、慌てて懇切丁寧に手取り足取りサポートしていたら、なんか逆にそれがショックみたいで、いきなり出社しなくなる。ぜんぜんよくわからないんです」 もっとも、こうした若者は「自分は会社組織の犠牲者なのだ」と考えている。ここにも大きなすれ違いがある。話が通じない若者たちの思考回路は、どのようになっているのか。会社を辞めた若者たちが集う就労支援の現場で考えてみることにした。