安齋肇さんと塩谷朋之さんが語り合う、アートとしての看板の魅力や面白さ。
二次元のボードにあらわした絵や文字で、情報やメッセージを与える看板。 その面白がり方を、二人に聞きました。
巷にあふれるさまざまな看板。そのアートとしての魅力や面白さとは? これまで数々の看板や宣伝物を手がけてきたイラストレーターの安齋肇さんと、顔ハメ看板写真を撮り続けて約20年、4800枚ほどの看板に「ハマって」きた塩谷朋之さんが語り合った。
塩谷朋之さん(以下、塩谷) 僕、前に安齋さんが作った新春イベントでの顔ハメ看板で写真を撮ってるんです(上の写真)。こっちは安齋さんの監督映画『変態だ』の時ですね(下の写真)。 安齋肇さん(以下、安齋) わあ、ハメてくれてたんだ。作った甲斐があったなあ。塩谷さんは顔ハメ看板があると聞けば行っちゃうんですか? 塩谷 期間限定のものもあるので、なるべく行くようにしてますね。街中でいつ出合ってもいいように、バッグには常にカメラと三脚を忍ばせてます。 安齋 三脚を立てて自撮りしてるんだ。大変な趣味だなあ。でも、顔ハメの上手な人と下手な人っていますよね。 塩谷 そうですね。手とか体が出ちゃったらだめですね。 安齋 あ、それはペナルティなんだ。
塩谷 顔だけ出ていて、看板の後ろはどうなってるんだろうって想像させるのが面白いなと。基本は中腰で撮影してて、幅が細い場合は体を横にしてはみ出ないようにしますし、背が低い看板の場合は匍匐前進みたいな体勢に。いかに体が出ないようにハマるかが肝なので、小さい看板を見つけると挑戦状を受け取ったみたいでうれしいですね。 安齋 「これにハマれるのか!?」みたいなね。あと、顔を入れる穴の部分が小さいのと大きいものといろいろあるじゃない。穴が大きいと隙間ができそうだけど、これはどうなの? 塩谷 隙間は、やっぱりなくしたいですよね。隙間がないと「ハマってる」という安定感があるので。逆に小さすぎても、今度はちゃんとハマれてるのかどうか不安になるんです。 安齋 あまりに小さいと、ハメてるというよりは、穴からのぞいてる感じになっちゃうもんね。そうか、プロはぴったりハマりたいんだ。