安齋肇さんと塩谷朋之さんが語り合う、アートとしての看板の魅力や面白さ。
1つでも、2つ以上でも。穴があいていればハマりたい。
安齋 常に真顔でハマってるけど、顔ハメは真顔がいいの? 塩谷 主役は看板なので、僕はいつも同じ表情で撮るようにしています。あとは、看板全体を入れて正面から撮るようにしてますね。 安齋 確かに、どこに立っているのかも含めての面白さだもんね。塩谷さんも撮ってくれた新春イベントの看板を作った時、「なぜ人は顔をハメるのか?」というのはすごく考えたんですよ。 目立ちたいからかなと思って、顔だけ目立つのを作った。でもやっぱりキャラクターになりたいのかなって思って、うさぎの顔の部分に穴を開けたパターン、それともモノになりたいのかなと思って鏡餅の中にハマれるようにしたパターンと、合計3種類作ったの。 塩谷 僕はその3パターンとも写真を撮ったんですが、正直言ってその違いはあまり考えてなかったです。僕としては、穴があいてればハマるので……。
安齋 あいてればハマるんだ(笑)。常に穴を探して歩いてるんだね。 塩谷 穴が複数あいてる看板もあるんですけど、あいてる穴は埋めたくなるんです。一人で来てる場合は、近くにいる人に声をかけて一緒にハマってもらいます。大抵の人は快くハマってくれるんですよ。前に6つ穴があいてる看板があったんですけど、埋まった時はうれしかったですね。 安齋 穴が6つもあると、看板の後ろはギュウギュウになりそう。 塩谷 そう、そこも楽しいポイントなんです。ハマる人同士でコミュニケーションが生まれるんですよ。 安齋 僕、昔は顔ハメって苦手だったの。なんか恥ずかしくて。妻も僕と同じく自意識過剰だから夫婦でやらなかったんだけど、ある時、妻が旅先でテンションが上がったのか、鳥羽水族館の顔ハメにハマってね。それがすごくいい顔で、見たらなんか悔しくなって。それで僕もやるようになったの。 塩谷 悔しくなったんですね(笑)。 安齋 国技館に置いてある、遠藤関に抱っこされる顔ハメもしたことがあります(下の写真)。その時思ったのは、外国人はあんまり顔ハメしてないなってこと。海外では馴染みがないのかな。