なんと、ウォーキングしても「報われていなかった」…「健康づくりの域を出ない運動」が「山登りで役立つトレーニング」に変わる、驚愕の方法
トレーニングが、山でのトラブル防止に役立っていないわけ
平地ウォーキングと階段昇降を例に、なぜそれらが山でのトラブル防止に役立っていないのかを考えてみます。 ウォーキングが「上りで苦しい」というトラブルの防止に役立っていない理由は、次のとおりです。ウォーキングでは平地を空身で歩くので、運動強度は4メッツ程度です。 これに対して登山は、坂道を荷物を背負って歩くので、上りではハイキングでも6メッツ、一般的な無雪期登山では7メッツと、強度が高くなります。つまりウォーキングでは運動の強度が弱く、心肺能力を鍛える効果が小さいために、上りでのトラブル防止に役立ちにくいのです。 また、ウォーキングが「筋肉痛」「下りで脚がガクガクになる」「膝の痛み」という、下りで起こるトラブルを防げないのはなぜでしょうか。これらのトラブルを防ぐには、下りで受ける強い着地衝撃を、余裕を持って受け止める脚筋力が必要になります。しかし、ウォーキングでは着地衝撃が弱いので、脚筋力を強化する効果にも乏しいのです。 ウォーキングではふくらはぎの筋を中心に使いますが、山道の上り下りでは太ももの筋を中心に使います。このため、平地でウォーキングをしているだけでは、山で使う筋を強化する刺激になりにくい、ということも理由の一つです。 階段昇降についてはどうでしょうか。階段上りの運動強度は8メッツで、ハードな登山なみのレベルです。使う筋もよく似ています。しかし、駅の階段を例に考えてみると、標高差は5~6mくらいなので、10回往復したとしても50~60mを上り下りする運動量にしかなりません。 これに対して登山では、初歩的なコースでも200mくらいは上り下りをすることになります。つまり階段昇降は、運動の様式や強度から見ればよい運動なのですが、運動量が少なすぎるために山での効果が得られないのです。
効果が見られるものの、誰にでもお勧めできないジョギングやランニング
先ほどのトレーニング種目と登山時のトラブルとの関係を見ると、ジョギングやランニングには多くのトラブルを防止する効果があります。ジョギングの運動強度は7メッツなので、一般的な登山の強度と同程度の負荷を心肺にかけられます。ジョギングよりもスピードの速いランニングになると、8メッツ以上の強度となるので、バリエーション登山なみか、それ以上の負荷となります。 走る運動は着地衝撃力も大きいので、脚筋力の強化にも一定の効果をもたらします。また運動強度が高い分だけ、短時間で効果が得られるという性質もあります。これらの結果として、山での効果も現れてくるのです。 ただし、+の記号が多いからといって、誰に対しても勧められるトレーニングになるわけではありません。走る運動は、若くて体力もある人にはよい選択肢です。しかし、中高年や体力の弱い人がいきなり行えば、膝や腰などに強い衝撃をあたえて、痛めてしまう可能性もあります。心臓に問題を抱えている人では、心臓疾患を引き起こす可能性もあります。