震災から1年、深刻なボランティア不足が続く能登「人手が足りない」「降雪期に入れば一層深刻化」の声も #知り続ける能登 #災害に備える
平時からの連携強化で「有事に動ける」仕組みを
気候変動の影響で大規模災害が頻発する中、一般社団法人「災害時緊急支援プラットフォーム(PEAD)」は、全国規模での持続的なボランティア派遣モデルづくりを進めている。IT企業経営者や投資家を中心として、平時から訓練や行政との連携を重ねた結果、今回の能登半島地震でも早期に現地入りし、浄水器設置など柔軟な支援を展開できた。
「行政は公平性が求められ、個別事情に踏み込みづらい面があります。民間の柔軟なネットワークを平時から築くことで、有事には機動的な対応が可能になると考えています」とPEAD事務局長の岡田隆太朗さんは話す。
「人が人を動かす」 ボランティアがもたらす心の再生効果
被災地では、ボランティアが単なる労働力以上の存在であることを実感している。輪島市の坂口茂市長は、「普段あまり見かけない若い人や外部の人が訪れることで、町に活気が戻る」と強調する。 「家の中がきれいになるだけでなく、心が軽くなったと被災者から聞きました。作業中に音楽を流したり、片付けた後に家にあったピアノで一緒に歌ったりすることで、笑顔が生まれる。また、水害で店を畳もうとしていた人が、ボランティアの励ましで再開を決意する例もあります。人が人によって動かされる、その力を強く感じます」
震災から1年が経った今も、被災地では避難所生活を余儀なくされる住民や、人手不足を抱える現場が少なくない。災害ボランティアが果たす多面的な価値を再認識し、その支援体制を強化することは、能登だけでなく、今後増えるであろう災害に備える日本社会全体への課題と言える。
協力 一般社団法人災害時緊急支援プラットフォーム(PEAD) 一般社団法人ピースボート災害支援センター(PBV) 輪島市社会福祉協議会 輪島市 一般社団法人能登官民連携復興センター