震災から1年、深刻なボランティア不足が続く能登「人手が足りない」「降雪期に入れば一層深刻化」の声も #知り続ける能登 #災害に備える
「降雪期には作業がさらに困難になります。東日本大震災では半年ほどで閉所へ向かう災害ボランティアセンターも多くありましたが、今回は震災から1年が近づいても終わりが見えません」 輪島市社会福祉協議会の担当者からは、そんな苦しい思いが聞かれた。
「能登には来ないで」から始まった初動の難しさ、脆弱なインフラ
なぜこれほどまで人が集まらないのか。1月の地震直後から現地に入り、復旧支援活動を続けてきた一般社団法人「ピースボート災害支援センター(PBV)」理事兼事務局長の上島安裕さんは、交通網や宿泊環境といったインフラ面での弱点、若者の少ない地域での受け入れ態勢の薄さなど、複数の要因を指摘する。 「震災直後は『能登には来ないで』というメッセージを出さざるを得ませんでした。幹線道路が寸断され、金沢から奥能登に行くには下手したら10時間以上かかる状況。当時、自衛隊や緊急車両を優先し、被災者でさえも市外への避難を呼びかけていた状況下では、受け入れは難しい状況でした。ただ、その初動対応の影響で、関心が下がり、結果的に長期的なボランティア不足が続いているのではないかと感じます」
また、高齢化が進む能登では、平時から地域を支える若者が少なく、ボランティアを受け入れる仕組み自体が脆弱だった。さらに地震時には危険性が高く、一般ボランティアが動きにくかったことが、当初の参加を鈍らせた可能性もある。 一方で、地震と豪雨では必要な支援内容が全く異なる。豪雨被害では泥出しや清掃など、一般ボランティアの手が求められるケースが多いにもかかわらず、「地震の延長」と思われて必要性が十分に伝わらなかった。加えて報道量の少なさ、選挙時期との重なりで情報が埋もれ、さらなる人手不足を招いたと上島さんは分析する。
求められる「細く長い支援」 関係人口の拡大へ
作業のタイミングも課題だ。2次避難先の金沢などから被災者が戻ってくるときに合わせてボランティアが必要になるが、帰ってくるタイミングはバラバラで、短期集中型の「ボランティアイベント」が組みにくい。「細くても長く」続く支援が不可欠な中、一時的な応急対応ではなく、被災地と長期的に関わる「関係人口」の創出・拡大が求められている。滞在拠点の整備や仕事創出、子育て環境の改善など、地域活性化とも連動した取り組みが議論され始めている。 また、過酷な状況のため初動対応でハードルが高かった今回の支援は、新規参加者を呼び込みにくくしたのではと上島さんは推察する。