自分の扱いに不満を感じても、現実を受け入れます――関根勤69歳、脱・老害のために必要なこと
娘・麻里に怒られ改心
関根は決して主観的にならず、周囲の客観的な目線を大切にする。この考え方は、高齢ドライバーの免許返納問題についても同じだ。 「妻や娘に『運転やめたら?』と言われたら、返納します。人間、『自分は違う』と思いがちだけど、他人が判断して危ないなら辞めたほうがいい。家族に迷惑かけちゃいけません。返納すると身分証明書のほかに、タクシーやバスが割引になったり、商品券がもらえたりするんですよね? 車の維持費を考えたら、免許ないほうが経済的かもしれない」 周囲が年下ばかりだと、本気で注意してくれる人はほぼ存在しなくなる。その状況で自分に本音を伝えてくれる家族の言葉には耳を傾けたほうがいいと考えている。 「若手と(娘の)麻里の3人でカレーを食べに行った時、料理がきてるのに、僕が夢中でしゃべり続けてたの。そしたら、麻里が蹴飛ばすんですよ。ジャレてるのかと思ってた。後で聞いたら、『先に食べないと後輩が手を付けられないでしょ』って。他にも『お酒が空になったら、もう一杯勧めないと。相手は遠慮してるんだから』と注意されました。僕は気が利かないんですよ。勉強になりましたね」 良いと思えば素直に取り入れる。その姿勢は芸歴49年のお笑いに関しても変わらない。今も1日4~5時間、バラエティ番組を視聴して研究を続ける。面白いと感じれば後輩を直接褒め、自分の参考にもする。オードリー、ナイツ、ニューヨークなどは「最高だったね~」と関根に伝えられた喜びをテレビやYouTubeで嬉しそうに話している。 「小学2年から5年までの間、給食を全部食べ終わるまで、毎日のように夕方まで1人残されました。戦時中の食糧難を知っている女性の先生だったから、偏食の僕を許せなかったのだと思います。家に帰ってお笑い番組を見ると、その辛さを忘れられた。救われた気持ちが未だに残ってるから、芸人を尊敬しているし、ファンのままなんですよね。だから、頑張ってほしいと思って声をかけるわけですよ」