自分の扱いに不満を感じても、現実を受け入れます――関根勤69歳、脱・老害のために必要なこと
昔のほうがよかったなんて思わない
芸能界は椅子取りゲームだ。後輩が台頭すれば、居場所を脅かされる。危機感から、若手を否定する人もいるだろう。年を取れば、自分の時代のやり方に固執しても不思議ではない。 「昔のほうが良かったなんて思わないですね。今のほうが格段に面白いです。漫才やコントの技術は確実に進化してます。ずっと見続けているから、変化に付いていけるのかもしれない。もちろん、歴史があって今があるから、先人への敬意は忘れちゃいけません」 求められない限り、関根は後輩にアドバイスしない。 「数年前、ある芸人に聞かれてもいないのに、『こうしたら面白いかもね』と言ったんですよ。でも、その案を試す様子はないんで、余計なお世話だったなと反省しました。それから、自分からは言わないようにしてます」 年上が年下に助言したつもりなのに、説教と捉えられるケースもある。2つの違いは何だと考えるか。 「説教は半分、自慢が入ってるんでしょうね。『俺の時はこうだった』とかね。何かを言うなら、相手の特徴を捉えた上でしたほうがいい。例えば、今の若者は叱られ慣れてないから、頭ごなしには言わないとかね。エビデンスに基づく必要があると思いますね」
年上とか年下とか全く気にしないです
年齢が離れていると、何を話したらいいか迷うケースもある。関根は『ミライ☆モンスター』で孫ほど年の差があるAKB48岡部麟らとMCを務め、ロケにも一緒に行く。コミュニケーションでは、何を心掛けているのか。 「インタビュアーになって、向こうのフィールドで話すといいですよね。このまえ、ゆうちゃみと『ヒルナンデス』で共演した時、妹(ゆいちゃみ)もいたんですよ。だから、『何歳違うの?』と聞いたら、『3歳離れてるんです』と言うから、『小さい頃、ケンカしなかった?』とかね。ダンスを一緒に踊ったから、『TikTok見てるの?』ってナチュラルに質問しました。『好きな食べもの何?』とか相手がしゃべりやすい話を振る。『チャールズ・ブロンソン知ってる?』とか自分の領域に持っていったらダメですね」 「僕は、年上とか年下とか全く気にしないです。(10歳年下の)ダウンタウンに認められると嬉しいですよ。2人とも笑いに厳しいですからね。『ダウンタウンDX』でダラダラ話す人がいると、特に浜ちゃんがイライラしてくるんですよ。だから、自分が喋った時に穏やかに聞いてくれると『俺は間違ってなかった』と確認できる」 関根が若手時代を過ごした昭和の頃、傍若無人なテレビマンは珍しくなかった。観客のいないスタジオにキャバクラのホステスを呼ぶディレクター、北海道までフェリーで行く旅番組のスタッフに愛人を仕込むプロデューサーなど公私混同が目立っていた。 「目上にはペコペコするのに、若手には偉そうにする人もいましたね。稽古場で『おまえ、俺の言う通りのコントやれよ』と指示されて、そのままやったら全くウケない。なのに、本番が終わると『なんで俺の言った通りにやらねえんだよ!』と怒鳴る。番組に応募してきた素人の中学生がネタ見せすると、偉そうな表情で『チッ。なげーよ! 切れよ』とか台本を投げ捨てる。メチャクチャでしたね。ディレクターって、その人たちの持ってる力を100%出してあげるのが仕事でしょ」