後見人の弁護士から「ペット」呼ばわりされて……「成年後見制度」は、認知症の人や障害者を社会的エリートが搾取する仕組みではないか
前編記事『「成年後見制度」なんか利用しなければよかった……弁護士を後見人にしたら、明るい人生が暗転した話』より続く。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」が見た「地獄」
家裁の決定に憤慨
香川さんは、主に長女の真由さんの応援を受けて、真由さんと二人三脚で後見業務をこなしてきた。真由さんは法律事務所勤務が長い。法曹界の事情に明るく、事務処理も巧みだった。 香川さんは腰痛の悪化に伴い、自分が退任して真由さんに後見人を引き継ぐことを考えた。従兄の俊彦さんより20歳も若い真由さんなら、今後、長期間、俊彦さんの後見人として働けると思った。 それで香川さんは2016年8月、後見人の辞任許可と、真由さんを新たな後見人に選任することを東京地裁に申し立てた。 家裁の調査官は「真由さんが後見人になることに監督人が反対すれば、話し合いになるが協議の場は持つ。その際はご連絡します」と真由さんに話した。だが翌9月、家裁は香川さん親子に一切連絡せずに「K監督人を後見人に選任した」と香川家に通知した。 この決定に香川家の人たちは憤慨した。一言の相談もなかったこともあるが、家裁には報告していないK弁護士の問題発言があったのだ。監督人当時、K弁護士は俊彦さんを「ペット」呼ばわりしていた。 そんな人物が後見人になることが俊彦さんのためになるはずはない。そう考えた香川さん親子は、ペット発言の録音データを添えて、家裁の決定に反対する上申書を提出した。私は、この録音を聞いたが、K弁護士は「言葉悪いけど、私ちょっと口走っちゃったけど、ペットと思うしかないね」と発言していた。
「ペット」だと言いゲラゲラ笑う
しかもペット発言は一度ではなかったという。香川さんの上申書(原文では実名)にはこう書かれている。 『監督人K先生は、私の家に来て俊彦と面会しました。この時、さらに驚いたことに、俊彦を見て「ペット」だと言いゲラゲラ笑っていました。私たちは、最初は「え?」「まさか?」と思い、その時、妻と長女真由は、お互い目を合わせ、眉をしかめた。私たち身内がいる目の前で障害者を見て「ペット」と笑いながら言われ、私たちは怒りと共に大変失望しました』 この録音データを突き付けられたK弁護士は、同年11月に後見人を辞任。家裁は新たにH弁護士を後見人に選任した。わずか2ヵ月で辞任したため、この時点では、香川さんが管理していた俊彦さんの預貯金通帳の引き継ぎは行われなかった。 真由さんによると、後見人の辞任と交代についても家裁は香川さん親子に事前に何の相談も連絡もなかったという。 「私たちは新たに選任されたH弁護士からの電話で、初めて後見人の辞任と交代を知らされました。俊彦のことを一番よく知っている親族が後見人を務めることが本人の幸福につながるという私たちの主張を、裁判官は一顧だにしませんでした」(真由さん) 驚いた香川さん親子は、H弁護士の解任と、真由さんの後見人選任を申し立て、これに対し、H弁護士も自らの主張をまとめた文書を家裁に提出した。