【平面から4次元が出現!】不思議な図形「クラインの壺」。3次元空間では作ることができない図形が「4次元空間」だったらできる!
先に捻ってから、つないでみる……?
では、こうしたらどうでしょう。 さきに辺ADの矢印と辺BCの矢印を同じ向きに合わせた(半捻りした)メビウスの帯を作ります。当然、辺ABの矢印と辺DCの矢印は図2のような向きになります。 では、ここから辺ABと辺DCを矢印が同じになるように貼り合わせられるでしょうか? これも無理そうです。 では、両方を同時に貼れば……そんなことを言われても、どうやったらいいのかわかりません。
この工作、3次元空間では無理なんです!
じつは、この工作は、我々の住んでいる空間、3次元空間ではできないことが知られています。 新図形(=できあがる図形)は、どうしても自己接触してしまいます。しかし、「4次元空間」の中では、新図形が自己接触しないように工作できます。できあがる図形を「クラインの壺」と呼びます。先に、クラインの壺の形をお見せしましょう。 クライン(1849-1925)は偉大な数学者の名前です。この図形を考案したので、その名を冠しています。 このクラインの壺は、このように考えることができます。 まず、「曲面」とは2次元空間(平面=たて・よこの自由度のある空間)を曲げたものです。曲面の次元は2次元ですが、それについて深く考えようとすると、上述のように4次元が自然に出てくるのです。 この図形の工作では、2次元の平面を曲げて、つなげる工作考えました。しかし、その工作をするためには、「4次元空間」が必要なのです。
クラインの壺と3次元空間
では前述の、この工作は3次元空間の中では自己接触なくできないが、4次元空間の中ではできる、とはどういうことでしょうか。 そのためにクラインの壺がどんな形をしているのか説明します。 もちろん、4次元空間の中の図形を空想します。想像してください。気合いを入れて、本気で空想しましょう。だんだんと見えてきます。コツさえつかめれば4次元空間を見ることはそれほど難しいことではありません。 なぜ、クラインの壺は4次元空間の中では自己接触なく実現できるのか、それを理解する準備をします。さきほどの条件を少し緩めて「少しなら自己接触をしていてもいい」としましょう。
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