中学受験「カテゴリ別」学校選びが成功の近道な訳 入学後も後悔がない!家庭で必要な受験軸とは
受験沼にハマり苦しむ親子続出「ハマらない」ための受験軸
私は、これまで20年間にわたって200校以上の学校を取材し、2万人以上の受験生と親に接してきました。なぜ、よかれと思って始めた受験なのに、子どもだけでなく親も「受験沼」にハマってしまうのでしょう。 一つには、中学受験が「レールを敷くのは親、走るのは子ども」という二重構造になっていることが原因です。中学受験で、実際に受験をするのは子どもです。でも、受験のレールを敷き、サポートするのは親の役目。一度走り出すと、子どものためと思いながら、やはり「偏差値」に振り回されたり、思うように上がらない成績に落ち込んだり。日々入ってくるさまざまな情報に敏感になってしまい、家族間ですれ違いが起き、なんのために受験しているのかわからなくなっていく……。 こうして「中学受験の沼」にハマる親子を何組も見てきました。だからこそ、受験沼から抜け出し、受験を成功させるためには、「受験軸」が欠かせないと痛感しています。 受験軸とは、「何のために受験をするのか」「どう受験をするのか」についての家庭内での基準のことです。 受験軸を決めることは、受験勉強の理由(動機)を決めることでもあります。勉強の動機と成績には深い関係があるのをご存じでしょうか。ある調査では、「勉強をすることが楽しいから」「自分の夢をかなえたいから」などの自律的な動機で勉強する子どもの成績が、動機がないまま勉強をする子より高いということがわかっています。 当然の結果と言えるかもしれませんが、自分で決めた軸(動機)をベースに、受験に向かうことで成績も上がりやすくなるといえるでしょう。さらに、受験軸があると、徐々にですが、他者の存在や外部のモノサシに親子共に振り回されなくなります。 受験での親子ゲンカは、「なんで勉強を頑張れないの?」「なぜ、やる気を出せないの?」と、親から子どもに非難のベクトルが向き、親子が対立することで起こりがちですよね。目標もなく「ちょっとでもいいところへ」という思いで受験勉強を行うと、それを達成できない子どもを変えたくなり、子どもに注意したくなります。 そして、出口のないトンネルを走ることになり、子どもも親もフラストレーションがたまり、衝突も増えてしまうのです。でも、「なんのために受験するのか」「どう受験するのか」という「大きな目的(軸)」を家族で共有できれば、うまくいかない場合でも、子どもと一緒に立ち止まって広い視野でどうすればいいか考えることができます。 「自分たちで決めたゴールにどうやってたどり着いたらいいか」と考えることで、親子でのすれ違いも減っていくでしょう。このように受験軸を持つと、出口が見えない中学受験の悩みからも解放されていくのです。