中学受験「カテゴリ別」学校選びが成功の近道な訳 入学後も後悔がない!家庭で必要な受験軸とは
受験直前期だからこそ、わが家の受験軸を見直す
今は12月。年が明ければいよいよ入試が始まります。今まさに受験直前という方もいらっしゃるでしょう。目前に入試が迫ったこの時期、現実的な受験準備に追われたり、学習面の不安に直面したりと手いっぱいかもしれません。 12月最後の模試で思うような結果が出ず、今さらながら受験校を変えたほうがいいかなと、悩む人も多いです。かつて私も子どもの中学受験を経験しましたが、まさに小6最後の模試の結果が振るわず、受験校を変えたほうがいいのか悩みました。 結果的には受験する学校は変えず、最後の2カ月は過去問対策で乗り切りましたが、今の中学入試は、受験日程も入試要項も複雑で、どの日程にどこの学校を受験するのか、今なお悩んでおられる方もいるでしょう。同じ学校でも、偏差値も日程によってまったく違うので、一概に模試の合否判定の結果だけで併願校を決めるのは危険です。 ですから、実際に出願するときには、日程ごとの募集状況や難易度も詳しく見ていく必要があります。そんな時こそ、我が家の受験軸を見直し、軸に沿った学校選びをすることが大切です。併願校選びで押さえておくべきポイントは、次の3つです。 反対に避けたいのは、不合格が続いて、それから慌てて出願し、見学したこともない学校を受験することです。受験する学校は事前に一度は訪れたところにしましょう。 受験軸に沿って見ていけば、だんだんわが家、わが子に合いそうな学校というのが見えてくるはずです。それが見えてきたら、実際のお子さんの合格可能性の数字と照らし合わせながら、意中の学校を4、5校に絞って、組み合わせていくのです。このときには偏差値も活用してください。 ここでもう一度、何のために中学受験をしようと思ったのか、どんな中学校生活を送りたいのかをお子さんと一緒に話し合って、最終的に受験する学校を決めてください。
わが子にあった学校選びのための「カテゴリー別」学校の特徴
最適な学校を選ぶための、10のポイントは以下の通りです。 『中学受験 親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)では、校風(サポート型か、自主性尊重か)と教育方針(プログレッシブ教育か、受験科目重視か)から学校の傾向を見るマトリクスと、取り組みから学校の特徴を見るレーダーチャートを提供していますが、ここからは、首都圏模試の受験者の間で志望者が増加している学校の中から、マトリクスのどこに入るのかをいくつかピックアップして解説します。 横軸は校風を自主性尊重かサポート型かで分類、縦軸は教育方針をプログレッシブ教育と受験科目重視に分類しています。 プログレッシブ教育というのは、学習者の自主性や創造性を重視し、従来の教育方法に比べてより個別化されたアプローチを採用する教育スタイルのこと。受験科目重視の学校は、従来型の一般入試突破のための学習指導を重視しています。 志望者数1位の開智所沢中等教育学校は、カテゴリーとしては、サポート型プログレッシブに入ると思います。2024年に開校した学校法人開智学園の新設校です。探究・国際・医進という今のトレンドを押さえたコース設定による教育内容と、埼玉県の学校なので1月に受けられるうえ都心からのアクセスもよいことから、併願校としても魅力があり、開校初年度から人気を集めましたが、今年度も多くの受験生を集めそうです。 これ以外にも、サポート型受験科目重視だった学校が、時代の変化や大学入試の変化に対応して教育内容を変化させプログレッシブ教育に移行している傾向が増えています。例えば、山脇学園や湘南白百合学園など伝統女子校でその傾向が顕著です。 次にここ数年じわじわ人気が上がっているのが、日本工業大学駒場中学校。カテゴリーとしては、サポート型受験科目重視に入る学校でしょう。 この学校は、もともとは工業系の学校で、長くものつくり教育を行ってきた男子校でしたが、共学の普通科進学校に舵を切りました。時代の流れに沿ったICTやSTEAM教育も重要だと思っているが、何より大事なのは教育の中で人柄を育むこと。「まじめでなければいいものはできない」という信念のもと「自分には厳しく、周りに優しくできる人」を育てることを基本に、きめ細かい指導で、しっかりとした土台を育むことを何より大事にしている堅実な学校です。地下の機械実習室には、工業高校時代からの本格的な機械が揃っていて、ものつくりのおもしろさを味わえます。真面目にきちんと育ててほしいというご家庭に向いています。 そして、自主性尊重で受験科目重視というカテゴリー。ここに入る学校はあまり多くありませんが、神奈川御三家の栄光学園のように高偏差値の学校で、学校としては自主性に任せているけれど、生徒の多くが東大はじめ高偏差値の大学進学を目指すような学校が典型です。 しかし最近は、例えば海城や巣鴨、駒場東邦のような男子進学校も、生徒の自主性を尊重するようになってきています。巣鴨でグローバル教育を推進するある先生は、「従来のような管理型の指導では今の子どもたちはついてこないし、自主性を育てていくことがこれからの時代は重要だ」と述べていました。 そんな中、上記の一覧表に載っている学校の中では、淑徳巣鴨中学校はここ数年でサポート型から自主性尊重に変わってきている学校です。サポートは手厚いけれど、生徒自身が自分の興味関心に気づいていく主体性を促す気づきの教育を行っています。 最後のカテゴリーは、自主性尊重でプログレッシブ教育重視校。神奈川の横浜創英中学校は、元麹町中の工藤勇一氏が行った改革を引き継ぎ、自律・対話・創造を柱に「生徒主体の授業」を行っており、来年度から高校で一条校としては他に類を見ない大胆なカリキュラム改変を実施することでさらに注目を集めています。 具体的には、多くの学校が110単位ほどに定めている卒業に必要な単位数を、最低限の72単位に留め、生まれる余白の時間を自由選択の時間として、学校外で学ぶことも可能にしていきます。生徒の個に応じた1200通りの時間割をつくるという画期的な取り組みは、『学校に軸を置きながら、生徒たちを社会に解き放す』という強い意思の表れです。 平均的な力を育てることがよいとされていた時代の教育から、とんがりを作る教育へのシフトの先陣を切った形。社会を変えていける人を育てるというメッセージに共感する人に選んでほしい学校です。 どうですか。わずか4校でもまったく違う考え方をしていることがわかったのではないでしょうか。『中学受験 親子で勝ち取る最高の合格』では、ほかの学校についても学校選びのマトリクスで詳しく解説をしていますので、参考になさってください。