【闘病】医者の私も症状に気づけなかった「線維筋痛症」 同僚からは仮病を疑われ…
小学生の頃から体に違和感がありながらも検査ではいつも「異常なし」と言われ、自身が医者になってからもしばらくは自分の病名がわからなかったという、みおしんさん(仮称)。 「線維筋痛症」を患う彼女に、ようやく診断がついて治療がはじまり、自らSNSなどで情報発信をするにいたるまでの経緯について、話を聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年4月取材。
週3回の通院をしながら医師として働く日々
編集部: 最初に不調や違和感があったのはいつですか? みおしんさん: 小学生の頃です。朝、目が覚めても起き上がれず、午前中はあまり元気が出ない。運動すると身体が軽くなるのに、立つ・歩くなどの基本的な動作に苦手意識があり、子どもながらに違和感を覚えていました。 編集部: 病院の受診はされましたか? みおしんさん: 学生時代に何度も検査しましたが、いつも結果は「異常なし」。医学部を卒業し、研修医として働き始めると、すぐに極度の疲労と浮腫に悩まされ、ペインクリニックに週3日通いながら研修を受けていました。 しかし、やはり無理を続けることはできず、研修医1年目が終わる頃にカンピロバクターという細菌感染から慢性疲労症候群を発症し、20ヶ月の休職を余儀なくされました。 編集部: 診断にいたるまでの経緯を教えてください。 みおしんさん: 復職後は週4回のペースで働いていたのですが、海外の有名なアーティストが「線維筋痛症」を告白しているニュースを見て、「もしかしたら、自分の体調不良もこれが原因では?」と思いました。 編集部: それであらためて病院を受診したのですね。 みおしんさん: はい。自分でカルテを作成し、有名な専門医を受診し、痛みの程度を測定するペインビジョンを用いて痛みを数値化したところ、「インフルエンザの時の関節痛が60程度」と言われている値が、私は349でした。その日のうちに線維筋痛症であると診断がつきました。 編集部: 線維筋痛症とはどんな病気なのでしょうか? みおしんさん: 線維筋痛症は、脳の炎症によって、全身の広い範囲があちこち痛いと感じてしまう病気です。ナイフで引き裂かれるような、血管の中にガラスが走っているような激痛、自分の声が響いて痛いなど、痛みの症状は人によって様々です。 私の場合は、発症から20年以上経って感覚麻痺していて、24時間365日、鉛の鎧を着ているような感覚が基本となってしまっていました。 編集部: 慢性疲労症候群についても教えてください。 みおしんさん: 慢性疲労症候群は、十分に休んでも回復することができない、日常生活に影響するほどの疲労感が6ヶ月以上続く病気です。重症になると、頭が重く持ち上げられず、入浴や食事で消耗したり、ほぼ寝たきりで過ごしたりするしかなくなります。 免疫系、神経系、内分泌系の多系統の病態が関与すると考えられています。 もともとCOVID-19の流行前から存在しており、日本では指定難病の認定を目標に啓発活動が行われてきましたが、今回のパンデミックをきっかけに、コロナ後遺症として併発している患者さんも少なくないため、病名の認知度はあがったように感じます。