何がCSファイナル進出を決めた巨人と阪神の明暗を分けたのか…痛恨失策と重圧かけた守備力にチーム戦略の差
橋上氏が注目したのは、1回の阪神の攻撃と3回の巨人の攻撃。立ち上がりに阪神は一死一、三塁の先制機を作りながらマルテ、大山が連続三振に倒れ、一方の巨人は、3回に無死一塁から大城、代打・八百板、松原が3連打で1点を返し、二死になって「二死満塁で打つしかなかった」という丸が逆転タイムリーを打つ勝負強さを見せた。 橋上氏は、この差を生んだのは、傾向を分析して構築されたチーム戦略だと見ている。 「マルテは高橋の外からインローに落ちてくるスライダーを見逃し、大山も見送ればボールの低めの変化球を振った。配球を予測し、何を狙うかが絞りきれていなかった。初回に4、5番に1本が出ていれば展開は変わっていたと思う。対照的に巨人は代打の八百板、丸は青柳の引っ張れる変化球を狙い、松原は逆方向を打つことに絞っていた。おそらく選手個々に裏をかかれたら仕方がないくらいの腹をくくって、球種、コース、打球方向などを指示していたと思う。あと1本が出るか、出ないかには、この違いもあったと思う」 大山はノーヒット。マルテも好機に打てなかった。 そして、阪神と巨人の明暗を分けた理由の根底にある、ここ一番で「勝ち切れる勝負強さ」の違いを橋上氏は、こう分析した。 「ミスが出た阪神と出なかった巨人、つまり短期決戦での勝負強さに違いが出たのはチーム内競争の差だと思う。チーム内競争が激しければ、そこを勝ち抜いてきたプレッシャーの方が凄いので、こういう舞台でのプレッシャーなど感じなくなる。阪神は、中野、木浪、北條の内野争いや、梅野と坂本の捕手争い、大山、佐藤がスタメンを外れるなどチーム内競争が激しいようにも見えるが、それが本当の競争だったのかどうか。来季はシーズンを通じて主軸を打ってもらわねば困る大山、佐藤をこの秋にどう育てるかも含め、戦力の底上げが来季への課題ではないか」 敗戦の中に貴重な経験と課題を得た阪神は来季へのリベンジをこの秋から始めなければならない。そして“下剋上“の第1段階をクリアした巨人は10日から神宮でのヤクルト戦に向かう。 (文責・論スポ/スポーツタイムズ通信社)