何がCSファイナル進出を決めた巨人と阪神の明暗を分けたのか…痛恨失策と重圧かけた守備力にチーム戦略の差
8回にも先頭の坂本の三塁線への平凡なゴロを大山が逆シングルで取りにいったが、腰高で、グラブに収めることができず、一塁送球も間に合わなかった。 実は、ここでも「記録に残らないミス」があった。続く丸が三塁前へのセーフティーバントを成功させた。原監督が、試合後、それがサインだったと明かし、丸が「1点が欲しかったところで仕事ができてよかった」と振り返った場面だ。大山はエラーの動揺もあったのか、丸のバントに対して無警戒だったのである。 「ベンチの指示があってもよかったのかもしれない。丸は好調でタイムリーを放っていた。岩崎はひとつ牽制を入れ丸の動きを探ったが、バントの素振りを見せなかった。それでも原監督のCSでの作戦の傾向を考えるとバントをケアすべき場面でもあった。まして左対左なのだから三塁のポジションは普通よりもっと前でよかった」と橋上氏。結局、続く亀井もバントを決め、一死二、三塁からウィーラーが犠飛を決めて2点差にする貴重な追加点を刻んだ。 阪神の今季のチーム失策数は86で4年連続リーグワースト。解消できなかった“宿題”が大一番で勝敗を分けるミスとなって出た。 橋上氏は、「本当に天性のセンスが必要なのは打撃ではなく守備だと、名手と呼ばれた宮本慎也氏や石井琢朗氏らが口を揃える。それだけ守備の技術の向上は難しいということで阪神は土のグラウンドというハンデもある。だが、ワンランクレベルを上げることは練習と意識付けでできる。中野は新人。大山もスタメンを外されるなど打撃に神経がいきすぎて守備への取り組みへの真剣度が足りなかったのかもしれない」と指摘した。 対照的に巨人は守備の力で阪神の攻撃を食い止めた。 3回一死一、二塁では、梅野の三塁線を襲う強烈なゴロを若林が、見事な反応で横飛びして止め、そのままベースを踏み一塁へ転送するダブルプレー。4回には一死一塁から近本のセンターを襲うライナーを丸がダイビングキャッチした。橋上氏が「守りでプレッシャーをかけた。短期決戦では有効となる」と注目したのは、ライトの松原の打球に対するチャージだ。