「母子家庭の私のほうが恵まれてると絶句」児童養護施設のクリスマス会の苦い思い出「当たり前の日常がない子たちにせめてご飯だけでもと」
■「なんで里親が増えないの?大人は何やってるの?」 ──「虐待から子どもを助けたい」という思いを大切に、精力的に活動されています。そんな岩朝さんを、お子さんはどう見ているのでしょうか。 岩朝さん:1年のうちでも10月の里親月間はすごく力を入れていて、毎年、私たちの協会では「全国一斉里親制度啓発キャンペーン」を行っているのですが、いつもうちの子にはすごく怒られます。「なんで里親が増えないの!?」って(苦笑)。「大人は何をしてるの?子どものためにどうして動かないの?」って。
「虐待から子どもを守るには里親が必要だし、自分だけがラッキーだったわけじゃなくて、すべての子どもが望んだときに里親のところに行ける状況を大人はつらないといけない」とも言われて。私は「はい、その通りです」と答えるしかないです(苦笑)。 ── お子さんは、4歳のころから岩朝さんご夫婦と暮らして、たくさん愛情を感じるなかで考えることもあったのでしょうか。 岩朝さん:「自分だけが私のような里親と出会えた」と、同じ境遇のほかの子たちに申し訳ない気持ちもあるようです。「なぜ、大人たちは子どもたちを助けようと動いてくれないのか。大人たちが本気になったら1日で解決するかもしれないのに」とよく言っています。私が「たくさんの大人を仲間にできていないママの責任です」と言うと、「ママは悪くない。ママは頑張ってる」って、私をすごくかばってくれます(笑)。
■日本の社会の「不妊治療」「寄付」はズレているかも ── とても素敵な親子関係ですね。これから目指している目標はありますか? 岩朝さん:まず20代や30代の女性には、「早い段階で不妊治療と里親制度についてしっかり知ってほしい」という思いがあります。この前、40歳の知人が「卵子を凍結することにした」と話していて。仕事を頑張ってキャリアも築けたから貯金もある程度ある。今のうちに若い卵子を凍結しておけば、45歳になっても50歳になっても、40歳のときの若い卵子が使えるから…って。