Cookie規制対応は本当に必要? 本質を理解すれば「何もしない」も一つの手かも
場合に応じ「何もしない」もあり。本質的な解決の鍵は「1st-Partyデータ」
以上の3つの施策については、取り急ぎの“応急処置”としては有効だが、規制とのイタチごっこになる可能性も否めない。そこで、土井氏があえて提案するのが「取り急ぎは何もしなくてもいい」「1st-Partyデータの収集を強化する」の2点だ。 ■ 取り急ぎは何もしなくてもいい まず、「取り急ぎは何もしなくてもいい」に該当する会社とは、検討期間が短く、初回サイト来訪からコンバージョンまで7日以内で解決するような場合だ。Cookieは発行後7日間で削除されるので、その前に解決していれば影響は受けない。そして、ECサイトなどで会員情報が計測できており、Cookieによる計測に頼る必要がない場合もあえて対応は不必要だろう。また、無料資料請求などコンバージョンのハードルが低く、検討や再来訪を前提にしていない場合も該当する。 ■ 1st-Partyデータの収集を強化する 「1st-Partyデータの収集を強化する」については、カスタマージャーニーをしっかりと捉え、その折に触れてデータを取得することが必要だ。つまり、広告接触からサイト来訪、申し込み、商談、成約、そしてLTVの向上まで、一気通貫でユーザーごとに人を把握して、マーケティングを実施することが求められる。しかし、Cookieが使えなくて分断しているケースもあり、統合するデータ基盤がないために実現が難しい。
それでも広告接触から申し込みまで24時間以内に完了していれば、Cookieによって広告側からほぼリアルタイムで状況を把握できる。しかし、申し込み後は商談から成約まで数日、数週間かかるという場合、さらにリピーターとしてLTVを高めたい場合、Cookieに頼らない施策が必要だ。そこで重要になるのが「1st-Partyデータの正しい収集と蓄積、連携」というわけだ。
土井氏は「Cookie自体が使えなくなるわけではないが、「3rd Party Cookie」はもうないものと考え、サーバー側から発行される「1st Party Cookie」を用いた対策を、ビジネス環境に応じて検討することが妥当」と語り、「さらに本質的で最も有効な手段は1st-Partyデータの整備とその活動にある」と強調し、セッションのまとめとした。 ※なお、講演を実施した2024年5月時点では、Chromeの3rd Party Cookieの廃止が予定されていたが、7月22日に「3rd Party Cookieの廃止を見送る」と発表した。本記事は、5月時点の講演情報をまとめているので、その点はご留意いただきたい(再掲:編集部)。