プロ野球トライアウトを視察した日ハム新庄監督はどこをどう評価して異例の”気になる4人”の具体名を挙げたのか?
新庄氏は48歳で挑戦した昨年のトライアウトに向けて1年間、トレーニングを積み50メートルを6秒1で走り遠投も95m以上を投げられるまでになった。だが、トライアウトの2日前に「限界に挑戦しよう」と坂道ダッシュを15本行い、その13本目に左膝を痛めてしまった。そのためトライアウトでは「痛めた足でのアピールはマイナス評価でしかない」と、守備範囲と肩を見せる外野ではなく、サードとファーストの2つのポジションを守ったという。 そういう実体験があるだけに目の前の33人のプレーが歯がゆかった。 「投球が(バットに)当たる前に(外野守備で)スタートを切っている選手も少ない。2人だけいたが。みんな実力はあるんです。何かをきっかけに変えられる」 新庄氏が、4人をピックアップしたのは、午前の部に出場した投手11人、野手全員を見た段階。 午後の部には、最速149キロをマークして2三振を奪った前ロッテの左腕、永野将司(28)や、不安障害でコンディションを崩し、今季1試合も投げないまま退団した、かつての最多勝投手である西武の多和田真三郎(28)が最速146キロを出して健在ぶりをアピールしていた。 では、この4人が全員日ハムと契約できるかと言えばそうではない。新庄氏は、稲葉GMら編成部のスタッフと共に視察した。日ハムはフロント主導で編成を行っており、新庄氏も、「一人でも多く取りたいが、球団の方針もある。僕は、この選手が良かったという報告はします。でも何十人ものミーティングで決まると思うんで。まだ1年目でペーペーなんで、そういう力はないから」とユーモアを交えて説明した。チームの強化ポイントと新庄氏の具申が一致すれば獲得の可能性もあるのかもしれない。 トライアウトから監督になった新庄氏が、その現代のベースボール・ドリームを生んだトライアウトの地から、新たな夢物語を作り出すことはできれば最高のドラマ。 今季は「本業のテレビと(野球の)勉強」が多忙で、選手として参加する気持ちは、まったくなかったというが、自身の2度目のトライアウト挑戦の可能性について、こう語った。 「あと1回トライアウトを受けるチャンスがあるからね。来年受けて、オレが監督として『あの選手良くない?』って取ったら面白くない?」