球界大御所が「ヤクルト日本一」で出てきたセパ格差の解消論をぶった斬る…「それ以前のレベルだ」
歯に衣着せぬ発言が反響を呼んでいる“球界大御所”の広岡達朗氏が、ヤクルトが4勝2敗で20年ぶり6度目の日本一に輝き、6試合中5試合が1点差ゲームの大接戦で、「史上最高のシリーズ」とファンが盛り上がった日本シリーズについての私見を語った。セ・リーグが日本一を手にするのは9年ぶり。セパの格差が解消したという意見も多いが、広岡氏は「それ以前の問題」と、ぶった斬った。また「優勝チーム同士がシリーズを争ったのだから、もうクライマックスシリーズはいらないのではないか」との持論を展開した。
勝敗を分けた捕手のパスボール
熱戦から4日…今なお語り継がれる日本シリーズとして野球ファンに刻まれた記憶は色褪せることはない。6試合中5試合が1点差ゲーム。しかも、極寒のほっともっとフィールド神戸で27日に行われた第6戦は、試合時間5時間に及ぶ死闘となった。 王手をかけられていたオリックスは、レギュラーシーズンで、最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、最多完封勝利の5冠を獲得して沢村賞も獲得した山本が先発して9回141球6安打1失点の激闘を演じて、試合は延長12回にもつれこんだ。今シリーズの規定は延長12回まで。その最終イニングにヤクルトが代打・川端のタイムリーで決勝点を奪い、異例の3イニング目に突入していた守護神のマクガフがオリックスの反撃を封じて、高津監督が、10度、神戸の夜空に舞った。 セ・リーグは2012年に原巨人が栗山日ハムに4勝2敗で勝利して以来、8年間、パ・リーグの後塵を拝してきた。2013年に巨人が楽天に3勝4敗で敗れて以降は、2勝以上したシリーズがなく、昨年、一昨年は続けて巨人がソフトバンクに4連敗して、セパの格差がクローズアップされ、原監督がパとの格差を埋めるため「セのDH制の導入」を訴えるという動きまであった。だが、今シリーズは、一転、全試合で接戦が続き、セパの格差が解消されたように見えた。 しかし、巨人OBでヤクルト、西武で監督を務めた広岡氏の見方は違っていた。 「ハッキリいってセパの格差を論じるようなレベルにはなかった。接戦が続き、ファンにとってみれば、面白いシリーズだったのかもしれないが、私から見れば、肝心なところでミスが出て勝負が決まるようなシリーズは、最高の技術を持った優勝チーム同士が日本一を決する選手権にはふさわしくない。第6戦もエラーがいくつ出たか。オリックスのキャッチャーがブロッキングの基本をしっかりとやっていれば、負けることのない試合。後味が悪かった」