柔道・阿部一二三&詩も実践する「丁寧な暮らし」の意味に変化…背景には“悲しい現実”が
ミュージシャンで作家の辻仁成(65)が8日付の自身のブログで、元妻の中山美穂さん(享年54)の急逝を悼んだ上で〈日々を丁寧に生きる。いろいろなことがあって、それでも、人生は続きます〉などとつづっていた。 【写真】過呼吸に陥るほど大泣きした阿部詩 ネットニュースでもやたらと見かける「丁寧な暮らし」「丁寧な生活」という言葉。まあ以前から使われていたが、最近目立つような……。 「柔道の阿部一二三、詩さんの兄妹が、パリ五輪終了後のインタビュー番組で、メンタルを落ち着かせるために丁寧な生活を心がけていると答えたあたりから、復活してきた印象があります。一二三さんは洗濯物をきちんと畳むとか、家事も丁寧にやることで気持ちが落ち着くそうですよ」(女性誌編集者) 2大会連続の金メダリストがそう言うんだから説得力はハンパない。 「持続可能な社会を求められる今の時代にハマる言葉ですよね。手間暇かけて料理を作ることで、食材も無駄にしない。丁寧な暮らしをすることで結果的にロスが減って節約にもつながる。そのうえ、金メダリストから精神的にもいいとお墨付きまで得た。“最強”でしょう」と、前出の女性誌編集者は笑う。 靴やカバン、服なども修理して長く使うのも丁寧な暮らしといえる。 「“ダーニング”関連本も人気ですね。“繕う”という意味で、穴の開いた靴下を繕うと聞くとビンボーくさい感じもしますが、靴下をダーニングといえば、おしゃれな響きになるでしょ?」(大手出版社関係者) ■セレブ感アピールから節約へ 穴の開いた靴下じゃモテないからとすぐに捨てるのは、丁寧じゃない。今となれば、ダーニングした方がモテるか。脚本家でライターの源祥子氏は「私も祖母のビンテージバッグを修理して使っていますし、いい傾向だとは思いますが」とこう続ける。 「『丁寧な暮らし』という言葉自体は5、6年ほど前からSNSを賑わせていて、以前は、部屋に花を飾るとか有機の食材を使うとかセレブ感をアピールみたいなところもあったんですが、最近は節約の意味合いが色濃くなってきたような……この物価高で新しいものは買いづらい。でも、我慢して節約していると思うと心が萎えていく。私自身そうですが、〈これは節約ではない。丁寧な生活なんだ〉と自分に言い聞かせることで気持ちをアゲたいのかも」 来年1~4月に値上げされる飲食料品は約4000品目に。庶民は日々の暮らしを丁寧に“ダーニング”せざるを得ないというのが現実か。