「身近な鳥が絶滅危惧種に!?」 なぜいまスズメは激減しているのか?
三上 はい。高齢の方に聞くと、子供の頃は空き地みたいな所でスズメを捕まえて、焼いて食べていたそうです。昔のマンガなどではザルに突っかい棒をして、地面にお米をまいてスズメを捕まえる場面などがよく出てきます。 今は許可された場合などを除き、スズメを捕まえたり飼ったりすることは法律(鳥獣保護法)で禁止されていますが、昔はよく捕まえて食べていたようです。 ――三上さんはスズメを食べたことがありますか? 三上 一度は経験しておこうと丸焼きで有名な京都・伏見稲荷大社の参道沿いで食べたことがあります。スズメは肉の部分が少ないので、私は普通の鶏肉のほうが好きです。 ■巣が作れなくなり、エサもなくなった...... ――そんなスズメが今、激減しているそうですが、なぜなんでしょうか。 三上 減っている理由は「わからない」というのが答えなんですが、その中でもわかっていることがふたつあります。 まずひとつは、巣を作る場所が減っています。古い住宅と新しい住宅を比べるとスズメの巣の数は古い住宅のほうが2、3倍多いんです。 昭和の時代に建てられた家は、隙間がたくさんありました。一方で最近の新しい住宅は気密性が高く、スズメが巣を作る隙間がほとんどありません。もし、隙間があったとしてもきちんとふさがれてしまっているんです。 そしてふたつ目は、やはりエサが少なくなっています。昔はなんだかよくわからない空き地がたくさんありました。『ドラえもん』に出てくる土管が置いてあるような空き地です。 ああいう場所でスズメはエサを取っていたのですが、今は空き地があると駐車場などにしてしまうので、雑草も生えないし虫もいません。 スズメは巣を中心に半径100~200mが生活圏で、その範囲でエサを探します。すると、巣を作る場所もエサを取る場所も減っているので、スズメ自体の数も減っているのだと思います。 ただ、東京の都心だけはスズメが少し増えているようです。理由として考えられるのは、建物や電柱が密集しているためどこかに巣を作れる場所があるからです。 また、都心は屋上などに木を植えたりして、緑化に力を入れていますよね。すると、エサを取れる場所もある。ひょっとしたらタカなど天敵もより少ないかもしれません。そのために増えているのかもしれません。