「身近な鳥が絶滅危惧種に!?」 なぜいまスズメは激減しているのか?
――そういえば、スズメの巣をあまり見たことがありません。どんな所にあるのですか? 三上 スズメはもともと木の穴などに巣を作っていました。ですから街の中に穴のような空間があればいいわけです。例えば、昔だとかやぶき屋根だったので、その隙間に巣を作ったり、瓦屋根になると瓦の隙間に巣を作ります。 瓦屋根には雀口(すずめぐち)と呼ばれる軒先の隙間があるのですが、スズメがそこによく巣を作るので雀口と呼ばれるようになったんです。また、雨戸などをしまう戸袋などにも巣を作ります。 ――本当に人間のすぐ近くで暮らしているんですね。 三上 そうですね。実は家だけでなく、電柱や道路標識の隙間、配管の中などにも巣を作るんです。 鳥の中には川岸でないと巣を作らないとか、苔がないと巣を作らないといった鳥もいるんですが、スズメはちょっとした隙間があれば巣を作ることができるということが、人間のそばで暮らすようになった理由のひとつかもしれません。 ――巣も作りやすいし、エサもあるし、天敵からも守ってくれる。スズメにとって人間は、とても有益だったということですか? 三上 そうだと思います。ほかにも人間を利用している生物はいて、例えば、ゴキブリなども人間によって分布を広げた生物といえます。 ――逆に、人間にとってスズメは有益なんでしょうか? 三上 まず、スズメは農業害虫を食べてくれるという利点があります。『舌切り雀』に代表されるように、スズメをいじめると不幸が訪れ、スズメを助けると幸せが訪れるというおとぎ話はよくあります。 たぶん昔の人はスズメを少なくしすぎると問題が起こるというのを感覚的にわかっていたのでしょう。 一方でスズメは穀物なども食べてしまいます。しかし、昔はスズメのほかにも農作物を食べるたくさんの害獣がいたので、そこまでスズメを敵視していなかったと思います。 スズメを捕まえて食べることはありましたが、家紋にスズメを使ったり、「スズメ色」や「スズメの涙」などの言葉があるようにいい関係だったと思います。 ――昔はスズメを食べていたんですね。