選手村滞在の南ア・サッカー代表2人の新型コロナ感染が海外に波紋…「五輪期間中に蔓延の懸念」「多くの競技者が棄権に追い込まれる不安」
米ワシントンポストも、外部と隔離されているはずの選手村で2人の陽性者が出たニュースを報じた。 「選手村に滞在していた2人の選手から新型コロナの陽性反応が出たと当局が日曜日に発表した。これは選手村での選手の感染例としては初めてのことであり、5日後に開幕する五輪期間中にウイルスが蔓延するのではないかという懸念が高まっている。大会関係者が居住したり、食事をしたり、検査を受けたりするために、一般の人が立ち入ることのできないエリアである選手村で、陽性反応が出たことになる」と伝えた。 さらに開催地である東京は新型コロナの感染者の増加により「緊急事態宣言」が発令されており、市民にも、選手にも不安が広がっていることを示す内容も記述している。 「日本の首都で新型コロナの新規感染者が増加し緊急事態宣言が発令されている中、23日の大会開幕に向けて数千人の選手や、その他の認定された人が日本に入国している。日本は、ウイルスの拡散を抑えるために、東京とその周辺で開催される五輪競技からすべての観客を締め出したが国民の大会への支持はいまだに低調だ」 また米フォーブス電子版も「東京五輪でトラブル。五輪選手村で初の陽性反応」との見出しを取り今回の問題を取り上げた。「大きな数字、55」として、「これは組織委員会が今月初めに感染者の追跡調査を開始して以来、大会関係者で新型コロナの陽性反応を示した人数の合計だ」と付け加え、すでに大会関係者の新型コロナ感染者が、延べ55人に至ったことを伝えた。 国際大会を取材する「インサイド・ザ・ゲームズ」では、南アフリカの2人のサッカー選手の新型コロナ感染を伝える記事の中で、これまでにナイジェリアとチェコの大会関係者も新型コロナに感染したことについて触れている。ナイジェリアの60代の大会関係者は、年齢と持病を考慮して入院しているという。 この記事では「国際オリンピック委員会(IOC)は、選手村の住民の少なくとも85%が新型コロナのワクチンを受けているとしている。五輪は、(日本の国民の)世論の反対や批判を背景に開催されており、開会式までの間も、大会中止を求める声が目立っている」と、大会開催に対して批判と不安の声が大きくなっている日本の状況を紹介した。 IOCのトーマス・バッハ会長は「安全・安心な大会」「日本にリスクを持ち込まない」と繰り返し発言してきたが、それらの見通しがまったく甘かったことが次から次へと明らかになってきた。また東京五輪・パラリンピック組織員会が、個人のプライバシー保護を理由に新型コロナ感染者の国名、競技名を伏せているため、さらに不安が増すという状況がある。五輪の場合、安全確保という公共性が優先されるべきで、国名、競技名などを明かさない方針には問題がある。まして選手村には1万人を超える選手、関係者が集結するのだ。東京五輪は、「安全・安心な大会」どころか「不安・混乱の大会」になりつつある。