J2開幕ドロー発進のセレッソ大阪は、1年でJIに戻れるのか?
勝てなかった悔しさと、負けなかった安堵感。敵地・味の素スタジアムで8日に行われた東京ヴェルディとのJ2開幕戦。はるばる駆けつけた大勢のサポーターの前で、1対1で引き分けたセレッソ大阪の選手たちの胸中を占めた思いは、後者のほうがわずかながら上回っていたのではないだろうか。 前半の途中からペースをつかみかけながらゴールを奪えず、逆に後半の開始早々にミス絡みでヴェルディに先制点を献上。後半34分に元ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランの豪快なゴールで追いついたものの、その5分後に新外国人のFWパブロが2枚目のイエローカードをもらって退場処分となった。 数的不利を余儀なくされた状況下で、アディショナルタイムを含めた10分弱を必死にしのいだ末に手にした勝ち点「1」を、名古屋グランパスから新加入した元日本代表FW玉田圭司はこう振り返った。 「今日やってみてあらためて、J2は簡単じゃないと思った。相手をなめていたわけじゃないし、もちろん勝ちたかった。勝てる試合であったことは間違いないんだけど、負けなくてよかったとも思いたいし、今日の試合をこれからのJ2の戦いへ向けていい経験にしていきたい」 優勝候補の一角にも挙げられた昨シーズンのJ1でまさかの17位に終わり、J2降格を味わわされたこのオフは一転して他チームの草刈り場となる危機に直面しかけた。実際にFW南野拓実(ザルツブルク)とFW杉本健勇(川崎フロンターレ)が移籍したが、フロントの必死の慰留もあって残る主力選手全員の引き留めに成功した。さらに補強面では玉田に加えて元日本代表DF茂庭照幸(バンコク・グラスFC)、DF中澤聡太(川崎フロンターレ)、MF橋本英郎(ヴィッセル神戸)、関口訓充(浦和レッズ)ら計算の立つベテラン及び中堅を獲得。かつてサンパウロFCをクラブ世界一に導き、鹿島アントラーズを率いたことのあるブラジル人のパウロ・アウトゥオリ新監督を招聘することにも成功した。 アウトゥオリ監督は2006年シーズンだけの指揮ながら、高卒ルーキーのDF内田篤人(シャルケ)をレギュラーに大抜擢するなど、翌年からの前人未到のリーグ3連覇の土台を築いたことで知られる。ペルー代表やカタール代表も率いるなど、百戦錬磨の経験を持つ56歳の指揮官は「本来いるべきステージへ戻るだけでなく、J1でも上位を狙えるチームを作る」と1年でのJ1復帰を宣言してシーズンに臨んだ。