J2開幕ドロー発進のセレッソ大阪は、1年でJIに戻れるのか?
ならば、自信を取り戻すための処方箋は存在するのか。扇原が続ける。 「白星をあげられればセレッソらしくなれると思うので、どんな内容でもいいから結果にこだわってやっていきたい。勝つことで自信を深めていければ」 勝ち点3を手にするためには、当然のことながらゴールが必要となる。新天地でのデビュー戦を終えた玉田は、ゴール量産へのキーワードとしてフォルランの名前をあげた。 「ディエゴはすごくシンプルな動きをする。動きの質はすごくいいし、シュートそのものは本当にワールドクラスというか、もしかするとワールドクラスを超えているかもしれない。そういう特徴を、もっとチームとして生かしていってあげればもっとよくなると思う」 同点シーンはゴールまで約20mの位置で獲得した直接フリーキックを扇原がちょっと動かし、パブロが止めた直後にフォルランが右足を一閃。鮮やかな弧を描いた弾道は、ヴェルディのGK佐藤をあざ笑うようにネットに突き刺さった。 フォルランは、このオフにオプションだった半年間の契約延長を自らの意思で行使した。つまり、7月にはチームを離れる可能性が極めて大きいことになる。 今シーズンから強化部長に就任した大熊清氏(前大宮アルディージャ監督)も、フォルランが途中でチームを去ることを半ば認めている。 「確かに中途半端な契約になるかもしれないですけど、そこはみんなで同じ方向性のサッカーを共有していく必要があるし、(選手を)育てていく必要もある。そういう点で継続性を持って、ぶれることなくやれるかどうかだと思っています」 フォルランの去就に関しては、アウトゥオリ監督も「私は監督として仕事をしているので、契約に関することや今後クラブがどう考えていくのかということにコメントできる立場にはない」と明言を避ける。その一方でチーム作り、特に攻撃面にはこう言及している。 「キャンプの序盤はまず短いパスをしっかりつなぐことを強調して、後半はもっとボールに向かっていく動きをもっと増やすことを強調した。私のチームのクォリティーを考えれば、短いパスをつなぐこともできるし、長いパスで一気に攻め込むこともできる。こうしたバランスは一気に取れるものではないので、一歩ずつ前へ歩みを進めながら、その微調整を選手たちとはかっていきたい」 つまり、フォルランがプレーできる間は、縦パスをメインしてその高い決定力を前面に押し出す戦いで勝ち点を稼ぎ、同時進行でフォルラン不在となった場合のコンビネーションを築き上げる。勝ち点を積み重ねることで、チーム内に巣食った迷いや不安を払拭することもできる。 守護神のキム・ジンヒョン、アルベルト・ザッケローニ元監督時代に日本代表候補も選ばれたセンターバックの山下達也を中心とする守備陣をそのまま残し、そこに経験のある茂庭や中澤を加えた理由は明白だ。まずは守備を安定させて、長丁場の42試合を戦う上での確固たる土台とする。山下や左サイドバックの丸橋祐介、チーム最古参の右サイドバックの酒本憲幸はJ2の戦いを知っている点でも大きい。 FC東京の監督として2011年のJ2を戦っている大熊強化部長は、守備陣に信頼を寄せる一方で攻撃陣の細かいコンビネーションはまだまだ発展途上と見ている。 「今日の試合を見る限りでは、お互いを知るという意味でもう少し時間がかかるかもしれないでしょうね。パブロもひとつゴールが決まれば気持ちよくなると思いますけど……」