2,000万円のはずが…定年直前にまさかの“退職金0円”の悲劇。月収40万円の勤続37年・59歳大卒会社員「えっ、さすがになにかの間違いでは」【社労士の助言】
人生100年を迎え、50歳の折り返しを過ぎるとそろそろ定年後の生活を考えるということもしばしば。このまま順当に仕事を続けていけば、定年時にまとまった退職金が受け取れるはずと、退職金の使い道についても計画しているかもしれません。しかし、想定外のことも起こり得るものです。本記事では、Aさんの事例とともに退職金の制度について、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
月収は高くないが…「退職金2,000万円でセカンドライフを」
日本の雇用慣行は、正社員で就職した企業に定年まで同一企業で雇用され続ける終身雇用の時代が一般的でした。 しかし現在では、働き方改革が追い風となり、多様な働き方が推奨されるようになってきています。 製造業に勤める大卒会社員Aさんは、59歳。同期入社の同僚は50歳前後を境に、転職や起業など、定年後の働き方を見据えて退職していきました。Aさんの月収は40万円と大卒会社員としては決して高いとはいえません。 60歳手前の男性の平均月収 ここで、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査結果の概況」から、男性の55歳~59歳の月収を学歴別賃金でみると、大卒で平均約51万円です。 産業別では、製造業が約41万円、さらに企業の規模別にみると、大企業では約48万円、中企業で約40万円、小企業で約35万円と、学歴や産業別、企業規模別で賃金に大きな違いがでています。 退職金給付額の平均 Aさんはいまの会社に不満がないこと、新たな仕事を始めて失敗することの不安を危惧していたので、終身雇用(定年)で退職金2,000万円を受け取り、安心したセカンドライフを過ごしたいと頑張ってきました。 退職金額についても、会社の規模・勤続年数・職種・学歴・退職理由などによって異なりますが、厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査結果の概況」から、退職給付(一時金・年金)制度の形態別定年退職者1人平均退職給付額 (勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者)の大学卒(35年以上勤務)では、「退職一時金制度のみ」が1,822万円、「退職年金制度のみ」が1,909万円、「両制度併用」が2,283万円となっています。
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