「オワコン」と思いきや、実際はインバウンドで大盛況! あの「カタログ通販の会社」がホテル事業で大きく成長していた
「弊社はなんでも“全員参加型経営”です。顧客満足度、従業員満足度、会社満足度の向上。いずれの方法もみんなで考えましょう、そのために改善、改良、改革をしましょうと折に触れて伝えています。自分で考えた改善案でうまくいくと成功体験になりますよね。それをいかに積み重ねてもらうかを追求するのが私の仕事なんです」 インタビュー中、安野社長はおそらく10回以上、この「改善、改良、改革」という言葉を口にした。3つの満足度の向上を求め、変わり続けることが、すべてのベルーナの経営の支柱となっているということなのかもしれない。
そして、これを追求する上では、同社ならではの強みが存在する。 ■通販のDNAが活きる集客戦略 その強みとは、長年の通販事業で培ったマーケティング力だ。通販事業から行っていた「お客様の声を聴く」という姿勢は、デジタル時代において、緻密なデータ分析とシステム構築という形に進化した。 ■通販で培ったECチームがプロパティ事業でも活躍 そして今では、元々通販事業を行っていたECチームのうち25人が、ホテル事業のデータ分析を行い、集客、システム構築に反映していると明かす。
彼らは、各ホテルの特性に合わせて最適な集客戦略を展開。立地やブランド特性に応じて、リアルエージェントとWEB系エージェント、自社ホームページでの直販、企業向け営業など、多彩なチャネルを巧みに使い分けている。 インバウンド需要については、ブッキング・ドットコムやアゴダなどの海外OTAと連携し、効率的な集客を実現している。 「3つの満足度の向上の力と、マーケティング力。それらをバランス良く発揮し、総合力で差をつけています」。成功の理由を問うと、安野社長はそう答えた。だが、さらなる秘訣が隠れていそうだ。
後編では、ホテル事業の成功を支えている投資判断、「浪漫」と「計算」の両立に迫る。
笹間 聖子 :フリーライター・編集者