3大会連続メダルとなる銀獲得も…なぜ卓球女子団体は中国に歯が立たなかったのか…パリ五輪へ向けて必要なこと
卓球王国の牙城は高く、険しかった。女子団体で初めてとなる五輪の金メダルを目指した日本だったが、最大最強のライバル、中国に0-3で返り討ちにあった。 東京五輪14日目の5日に東京体育館で行われた決勝。すべてストレートで勝ち進んできた日本は石川佳純(28・全農)、平野美宇(21・日本生命)ペアが第1試合のダブルスに敗れると、エースの伊藤美誠(20・スターツ)が臨んだ第2試合のシングルス、平野が臨んだ第3試合のシングルスも落とすストレート負けで涙をのんだ。 1回戦からすべてストレート勝ちで金メダルを獲得した中国は、団体戦が採用された北京五輪以降で4連覇を達成。銀メダルの日本もロンドン五輪の銀メダル、リオ五輪の銅メダルに続いて3大会連続で表彰台に立った。
「本当に苦しかった」
表彰台で輝かせた笑顔の裏で、脳裏にはさまざまな思いが駆け巡っていたのだろう。フラッシュインタビューに応じた伊藤は、目に涙をにじませていた。 水谷隼(32・木下グループ)とのペアで手にした混合ダブルスの金メダル、日本の女子選手として五輪のシングルスで初めて手にした銅メダルに続き、すべての色のメダルをそろえた伊藤は、エースとしてフル回転した東京五輪を意外な言葉で振り返った。 「終わってみればあっという間でしたけど、正直、個人戦から団体戦に入るときには疲れもあって本当に苦しかった。ただ、この場に入れない大勢のスタッフさんを含めて、いろいろな方々の支えがあって、最後まで楽しみながら突っ走ることができました」 伊藤が抱いた思いのなかには、悔しさも含まれていたはずだ。女子シングルスの準決勝でストレート負けを喫した同じ2000年生まれのライバル、孫穎莎へのリベンジもかかっていた第2試合のシングルス。2ゲームを立て続けに奪われた伊藤は第3ゲームで一矢を報いるも、第4ゲームを3-11で落として返り討ちにあった。 これまでと同じく石川・平野ペアで臨んだ第1試合のダブルスは、第1ゲームを先取する幸先のいいスタートを切りながらもシングルスを制した世界ランキング1位の陳夢、同4位の王曼ユペアが3ゲームを連取。逆転で勝利を奪われていた。 日本初のプロ卓球選手として4度の五輪に出場し、Tリーグ前チェアマンで現在はアンバサダーを務める松下浩二氏は「相手は第2ゲームから、日本の攻撃に対して非常に上手く対応していた」と、中国ペアが試合中に見せた修正力をターニングポイントにあげる。 「第1ゲームは『こんなにいいプレーをしてくるのか』と、驚きに近いものがあったはずです。石川選手と平野選手がいつになく攻撃的で、どんどん打ち込む展開になりましたけど、第2ゲームからは打ち込まれるのを予測して、しっかりと準備してプレーしていた。日本のプレー内容は変わらずよかったんですけど、相手が上回った形です」